COP25の閣僚級会合で演説する小泉環境相(11日、マドリード)=共同 15日閉幕した第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)に出席した小泉進次郎環境相は、国内外で石炭火力発電の新増設を進める日本への批判の矢面に立った。石炭火力輸出の公的支援の制限を表明できないかと考えたが、省庁の縦割り行政や国内のエネルギー事情から話をまとめられなかった。政府を代表した小泉氏は環境問題で思い通りに動けずにいる。 ■「石炭祭りのようだった」 「石炭の海外輸出について何かアクションを起こせるのではないか。前向きな話ができればよかったが、調整できなかった」。小泉氏はCOP開催中の11日、海外メディアとの記者会見で悔しさをにじませた。 COP25では石炭火力がやり玉に挙がった。国連のグテレス事務総長は石炭火力の建設を「石炭中毒」と批判。石炭火力発電をやめない日本に会場内外で非政府組織(NGO)などが抗議した。閉幕後、小泉氏は「石炭祭りのようだった」と振り返った。 批判は開催前から分かっていた。小泉氏は11日の演説で「厳しい批判は承知している」と向き合う姿勢をみせたが、新しい政策を表明することはできなかった。 COP25に向けて、小泉氏は海外への石炭火力発電政府開発援助(ODA)などの公的支援を制限する意向を表明できないかと模索していた。国際NGOの調査によると、インドネシアやアフリカなどの石炭関連事業に対し、約5700億円支援している。 政府が掲げるインフラ輸出の中で石炭火力は柱の一つだ。閣議決定された国の戦略として日本企業の現地事業を援助しており、中止すればそうした企業にも影響が出る。実現すれば大きな方向転換になるはずだった。 開催直前まで環境省は経済産業省と協議を重ねた。「首相の国会答弁でも輸出すると話している」「新興国や途上国などに需要がある」。経産省は反対し取り合わなかった。石炭輸出案件を持つ企業を抱える経団連も反対に回った。梶山弘志経産相は3日の記者会見で「石炭、化石燃料の発電所の選択肢は残す」とくぎを刺した。結局調整できずCOPを迎えた。 ■権限は経産省に 小泉氏の思いがかなわないのは、そもそも輸出制限の方針変更は環境省の権限ではできないからだ。石炭火力の許認可権限は経産省が持つ。インフラ輸出戦略も外務省などが中心だ。小泉氏は気候変動対策を対外的に代表する立場だが、国内では縦割り行政で身動きがとれないのが現状だ。 環境省と経産省のこうした関係はいつものことだ。環境省は11年の東京電力福島第1原発事故以降、排出削減の観点から石炭火力の新増設が増え続けることに異議を唱えてきた。石炭火力への環境アセスでも懸念を伝え続けたが、電力会社などを所管する経産省の牙城を崩せず、エネルギー政策で存在感を示せない。 政府は30年時点の電源構成で、石炭火力を原子力、再生可能エネルギーと同程度の2割としている。だが原発事故後、国内のほとんどの原発が停止。地元同意が得にくく再稼働は進まない。 国内の需給を石炭に頼らなければならない事情もある。原発の安全対策費の高騰にも苦しむ電力各社は、その代替として安価な石炭火力発電の新増設をしてきた。小泉氏も「石炭ゼロは現時点では難しい」と認める。 先進国で石炭火力をやめる動きは相次ぐ。欧州ではフランスが21年まで、英国が25年まで、ドイツも38年までの全廃を掲げる。カナダも30年までに原則閉鎖する方針だ。 世界の環境政策に詳しい東京大学の高村ゆかり教授は「日本は先進国だが、石炭火力の新増設や輸出計画があるのは他国から見て異様に思われている」と指摘する。 地球温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」は20年から運用が始まる。産業革命前からの気温上昇を2度よりも低くする目標を掲げるが、現状では各国の削減目標を足し合わせても気温は3度以上上昇する。 削減の機運が高まる中、脱炭素で日本が世界にどのように貢献するのか。日本のエネルギー政策が問われている。 (塙和也氏、安倍大資氏、竹内宏介氏)

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