政府は国立大学や研究開発法人の出資規制を見直し、企業と共同研究する株式会社を大学外に設立できるようにする。現行の産学連携の仕組みでは大学の規則に縛られ、資金や人事面で制約を受ける。研究者に適切な報酬を支払えないといった問題が生じ、共同研究を促進するうえでの障害となっていた。規制見直しで海外と比べて出遅れている産学の協業を増やす狙いだ。



産学連携が活発な海外では大学が外部に研究組織を設けている例が少なくない。例えば米スタンフォード大学から独立した研究機関「SRIインターナショナル」は、政府機関や世界中の企業と組んで研究開発を請け負っている。日本企業ともトヨタ自動車や大林組などと共同でプロジェクトに取り組んできた。年間の収入は5億ドル(約500億円)程度で、約1700人の職員を抱える。


ベルギーのルーベンカトリック大学を中心に設置されたIMECはナノテクノロジーの研究拠点として有名だ。IMECは2019年にパナソニックと組んで、固体の電解質を使った電池の開発を発表した。


一方、日本では大学の研究者が企業と共同研究を実施することはできるが、小規模なものが多い。大学内の研究組織では、給与や人事制度など大学全体のルールを守らなくてはいけない。画期的な開発をしても適切な報酬を支払えなかったり、研究計画の承認などの事務手続きが煩雑だったりする問題があった。企業が求めるスピード感で研究開発できず、企業からは制度が硬直的だという批判も出ていた。


国立大が出資できる範囲も、現在は知的財産権を実用化する技術移転機関(TLO)やベンチャーキャピタルに限られる。このほか、指定された一部の国立大学法人はコンサルティングや研修・講習などを専門に手掛ける大学発のベンチャーに限って出資できるが、研究開発を手掛ける組織への出資は全体として認めてこなかった。


今回の規制見直しで、大学の外部に企業との共同研究のための株式会社を作れるようにする。出資にあてる財源は寄付金や特許料収入など大学の自己資金を想定する。


国立大は財政事情が厳しく、大学が設置する外部の研究組織には、企業の投資を呼び込むことを想定している。大学が研究成果の実用化に向け、企業と共同研究したり、民間企業の試作品製作などを請け負ったりする。


内閣府によると、新たに認められる外部組織では大学の研究者が大学と外部組織の両方と雇用契約を結ぶ「クロスアポイントメント」で働くことが見込まれる。大学の設備は外部組織が大学に施設利用料を払えば、レンタルできる。研究開発以外のマネジメントに関わる職員は専従とし、知財関連のノウハウを内部で蓄積できるように工夫することを促す。


内閣府が内閣法制局などと必要な法令改正を調整しており、20年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。

政府はこれまでも産学連携活性化のため、国立大のTLOへの出資容認などを進めてきた。しかし海外と比べ、産学の協業は見劣りしているのが実情だ。


政府は25年度までに企業から大学や国立の研究開発法人に対する投資を14年度の3倍にするという目標を掲げているが、17年度は約1.2倍と低調な伸びにとどまっている。内閣府によると、大学の研究費の企業負担割合はドイツや韓国が1割超なのに対し、日本は2%程度と低迷が続く。先端技術を巡る国際競争が一段と激しくなるなかで、産学の連携を阻んでいる規制の見直しが急務となっている。

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