年5000億円、今年度失業給付超えも 労使負担に疑問の声

政府は国家公務員の男性職員に原則1カ月以上の育児休業の取得を促す方針だ。民間企業にも波及させて、育休の取得率を高める狙いだが、休業中の賃金の補填が課題だ。現行制度は雇用保険を使って給付する仕組みで、給付額は年5千億円を超す。2019年度には失業者を対象にした給付を上回る見通し。給付が増え続ければ、企業と労働者が負担する雇用保険料を上げざるを得ない。政府が重要政策に掲げる少子化対策の費用を労使が担い続けることに異論も出始めた。



労働者は法律に基づき、育児休業を最長2年まで取得できる。最初の半年間は休業する前の賃金の67%分、その後は50%分を雇用保険から給付して休業中の賃金を補填する。父母ともに使える。

実は日本の育休制度は国際的に最も充実している。国連児童基金(ユニセフ)によると、給与と同等額をもらえる男性の育児休業の期間が先進41カ国で最も長い。

一方、民間企業の取得率は2018年度で6.16%にとどまる。政府は2020年までに13%の目標を掲げるが、開きは大きい。内閣府の調査では「周囲が忙しすぎて言い出せる雰囲気ではない」との回答が49.4%で最多だ。「その後のキャリアに悪影響が出るおそれがある」という回答も35.5%と多かった。

政府は男性国家公務員が育休取得をしても不利にならない制度にする方針だ。少子化対策白書によると、子どものいない既婚男性の約6割は育休を取得する意向がある。キャリアへの悪影響が出ないとなれば、男性の育休取得は増えそうだ。

ただ、雇用保険制度からみると、男性の育休増は財政悪化要因となる。

厚生労働省によると、18年度の育児休業給付は5312億円。前年度に比べ11%増えた。毎年10%前後伸びている。一方、失業給付の「基本手当」は5473億円で1%増にとどまった。2019年度には育児休業給付が上回る公算が大きい。出産で退職する女性は減り、育児休業の取得が増えているためだ。男性の取得が増えていけば、雇用保険の支出はさらに膨らむ。

労使で負担する雇用保険料率は現在、0.6%と過去最低の水準にある。景気の回復で失業給付が減り、2017年度から3年限りの特例措置として引き下げた。消費増税後に実質所得が目減りしないよう2020年度も0.6%を維持するが、育児休業給付の増加から2022年度には引き上げる見通しだ。

労使の代表らで構成する労働政策審議会(厚労相の諮問機関)が29日開いた雇用保険部会では、育児休業給付の負担のあり方を見直す声が委員から上がった。

労働側の委員は「将来的に雇用保険で(育休給付を)負担し続けていくのが適正なのか。一般財源を確保し十分な財源を投じていくことが必要ではないか」と指摘。民間の労使による負担ではなく、政府の負担で賄うべきではないかと問題提起した。他の委員からも「所得保障的な意味合いが強くなり、育児休業給付の意味合いが変わってきている。本当に雇用保険で続けるべきなのか検討すべきだ」と賛同する声が上がった。


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