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【ワシントン=鳳山太成、シリコンバレー=奥平和行】米大統領選を控え、米ツイッターなどのSNS(交流サイト)運営企業への圧力が強まっている。トランプ米政権は23日、利用者の投稿内容に運営企業が手を加えることを規制する法整備を呼びかけた。民主党のバイデン前副大統領は運営企業の一層の関与を求めている。

焦点は1996年に成立した通信品位法230条だ。IT(情報技術)大手に活動の自由を保障する条項で、SNS運営企業は投稿内容を訴えられても原則、法的責任を問われない。運営企業が裁量で投稿を削除することも認めている。フェイスブックやツイッター、ユーチューブなどの成長の基盤となってきた。

トランプ政権下の米司法省は23日、230条に関してSNS運営企業に一定の責任を負わせる改正案を公表した。

230条の見直しはトランプ大統領、バイデン氏が共に賛成している。一方で両氏が求める改正内容は大きく異なる。

トランプ氏は「SNS運営企業がネット上の保守的な言論を抑制している」と主張する。5月にはツイッターがトランプ氏の投稿に「事実確認を促す警告」をつけ、激怒した同氏が見直しを求める大統領令を出した。

こうした経緯を経て司法省は「230条は合法的な言論の検閲を可能にしている」と指摘した。今回の改正案では、SNS運営企業が投稿を削除する場合は根拠を明示するよう義務付けた。

バイデン氏の主張は異なる。同氏が問題視するのは、現行の230条でSNS運営企業が投稿内容への責任を問われないことだ。6月にはSNSでの政治広告の規制強化を求める書簡をフェイスブックに送った。同社やマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)を「好きではない」と発言したこともある。

野党・民主党もSNS運営企業がデマやヘイトスピーチ、児童ポルノなどの投稿を野放しにしていると批判する。

米国内ではSNSが政治や言論に与える影響が大きくなるにつれ、230条を「時代遅れの法律」とみなす意見が広がってきた。今回の司法省の改正案でも「悪意を持って」違法コンテンツの投稿を促したSNS運営企業には、連邦政府が法的措置を取りやすくする内容を盛り込んでいる。

アリゾナ大学のデレク・バンバウアー教授は「トランプ氏と与野党が合意できる法案を作るのはほぼ不可能」と強調する。「230条は現実的な法改正の問題というより大統領選の争点や政治的な論争として扱われている」と解説する。

SNS運営企業は230条を見直せば米企業の弱体化につながり、中国の台頭を招くと主張する。選挙関連の投稿を規制するなど自主的な対応で済ませたいのが本音だ。

トランプ氏が再選し、共和党が議会で数を伸ばせば21年に法改正が実現する可能性がある。バイデン氏も当選すれば規制強化に踏み込む構えだ。米IT大手にとっては、どちらが大統領になっても230条の見直しが事業拡大の阻害要因になりそうだ。

ボストンカレッジのダニエル・ライオンズ教授は「最終的に役割の重みに応じた責任を(SNS企業に)負わせる法案がつくられるかもしれないが、責任の範囲がどうなるか予測するのは時期尚早だ」と述べ、これからも激しい論争が続くとみる。

 

 


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