適地に限界、広域連携がカギ

福岡県大牟田市で、冠水した住宅街を歩く男性(7月7日午後)=共同

福岡県大牟田市で、冠水した住宅街を歩く男性(7月7日午後)=共同

 

九州などを襲った7月の豪雨災害発生から4日で1カ月。甚大な豪雨災害が全国で相次ぐ中、危険が及ぶときに住民が身を寄せる指定避難所の27%が、浸水や土砂崩れの恐れのある場所に立地していることがわかった。浸水の深さ想定が2メートルを超す場所もある。自治体や住民は施設の被災リスクを点検し、被害の軽減策や代替避難先の確保を急ぐ必要がある。

 

 

ここ数年に発生した豪雨や河川氾濫では、浸水した避難所を閉鎖する事態が相次ぎ、7月の豪雨でも避難所が孤立するケースがあった。日本経済新聞はこうしたリスクが全国にどれほど潜んでいるのかを探った。

国土交通省が集約している市区町村指定の緊急避難場所の地理データベースから、住民が滞在できる指定避難所を兼ねた約4万8200施設を抽出。洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域(特別警戒区域含む)の地理データと照合した。

 

 

 

近隣の河川氾濫で浸水の恐れがある避難所は全体の19%にあたる9255施設。土砂災害を警戒すべき場所には8%の3954施設が立地していた。両方のリスクがある施設は0.4%だった。

上階への垂直避難が必要になる2メートル以上の浸水が想定されるのは全体の2.4%、1146施設だった。浸水リスクがある避難所の割合を都道府県別でみると、埼玉は49%と最も高く、佐賀の46%、富山の45%が続く。

7月豪雨ではリスクが顕在化した。福岡県大牟田市では指定避難所の小学校や公民館が一部で浸水。周辺も冠水し、孤立状態に陥った。市は32カ所の避難所を開設したが、14カ所が浸水想定区域にあった。市災害対策本部は「想定区域の施設を除くと大人数を収容できる施設が足りず、やむを得ない」と説明する。

球磨川が氾濫した熊本県球磨村では6つの指定避難所のうち2施設が浸水した。一部は2メートル以上の浸水リスクがあった。急斜面の地形で土砂も水害も避けられる場所は限られるという。

 

 

 

今回照合したのは全国で比較できる「50〜150年に1回の大雨」を基準にした浸水想定区域。15年の水防法改正で「1000年に1回の豪雨」が新たな基準となったが、未更新の自治体は多く、実際のリスクは悪化する恐れがある。

新基準のデータがある国管理河川の浸水想定区域だけを抽出すると、3メートル超の深さで水につかる恐れがある避難所は約2120カ所もあった。土砂災害警戒区域も自治体指定は道半ばのため、危険な場所は増えそうだ。

もっとも河川近くや山間部は適した場所は少なく、リスクはゼロにできない。上階に住民や物資を退避させる手段も講じておく必要がある。

 

 

 

「安全な施設をすべて個別の市区町村が整えるのは困難」と東大の片田敏孝特任教授(災害社会工学)は行政頼みの限界を指摘。「民間施設の活用など、住民が主体となって避難場所を確保する取り組みが欠かせない」と強調する。

被害が少ない近隣自治体の避難所が被災者を受け入れる対応も有効だ。荒川が流れる東京都江戸川区は100を超す避難所の大半が浸水リスクを抱えるため、千葉県市川市と相互に避難住民を受け入れる協定を結んでいる。水害に詳しいリバーフロント研究所の土屋信行技術審議役は「近隣の自治体が協力して、広域的な防災計画を立てるべきだ」としている。

(鷺森弘、佐藤健、北本匠)

 

【調査の方法】国土交通省が国土数値情報で提供する「浸水想定区域(最新は地域ごとに2012年度もしくは19年度)」「土砂災害警戒区域(同13〜19年度)」の地理データと、国土地理院が全国の市区町村から集めた「指定緊急避難場所」の緯度経度情報を活用。地理空間ソフトと独自プログラムでデータを照合し、一定期間滞在できるよう安全な場所にすべき「指定避難所」のリスクを分析した。東京23区の一部を含め、データを出していない約250市区町村は対象から外した。

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