英経済は都市封鎖の長期化で大きく悪化した(6月、営業休止中のロンドン中心部の百貨店)=AP

英経済は都市封鎖の長期化で大きく悪化した(6月、営業休止中のロンドン中心部の百貨店)=AP

世界の主要国の2020年4〜6月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比9.1%減少した。リーマン危機時の約3.5倍の落ち込みで、コロナ禍の傷の深さが鮮明になった。それでも感染を早期に抑え、経済復調に動いた中国やベトナムはプラス成長を達成した。感染抑制と経済活動の両立の重要性を改めて浮き彫りにした。

 

世界GDPの3分の2を占める日米英中とカナダ、ユーロ圏の計24カ国を「主要国」として集計した。GDP統計では変化を早く捉えられる前期比を使うことが多いが、コロナ禍で経済規模が平常時に比べてどれだけ縮んだかをみるため前年同期と比べた。リーマン危機の影響がピークだった09年1〜3月期は2.6%減だった。

 

 

米グーグルがスマートフォン利用者の位置情報をもとに移動先を分析したデータでみると、感染抑制のために厳しい行動制限を導入して人出が少なかった国・地域ほど、GDPの落ち込みが大きい。4〜6月期の人出(中央値)が52%減と主要国で最も減ったスペインと英国はGDP減少率も上位2位を占めた。

世界旅行ツーリズム協議会によると、主要経済国でGDPに占める観光の割合が最も高いのがメキシコ(15%超)、2位がスペイン(14%超)。観光依存が高いほどGDPも落ち込んだ。スペインは6〜9月に国外から多数の観光客が訪れるが、今年は6月下旬まで受け入れを停止。6月の国外からの来訪者は前年同月比97.7%減った。

英国は新型コロナウイルス対策が遅れ、他国よりロックダウン(都市封鎖)が長引いた。日米欧の大半は5〜6月初旬に段階的に再開したが、英国は飲食や宿泊の休業解除が7月にずれ込んだ。

 

 

主要国で4〜6月期に唯一、プラス成長となったのが中国(3.2%増)だ。企業活動が先導する形で、2四半期ぶりにプラス成長に戻した。国の政策頼みの面が強く、民間投資はマイナスのまま。力強さを欠く家計や民間に恩恵が波及するかが持続力のカギを握る。

主要国以外ではベトナムもプラス成長だった。早期のコロナ防疫で、外出制限を4月の約3週間にとどめたことが奏功し、4〜6月期の人出はコロナが本格化する前に比べて3%減まで戻った。

英エコノミスト誌の調査部門のエコノミスト・インテリジェンス・ユニットによると、日米欧7カ国(G7)は7〜9月期にすべて前期比プラスに戻る見通し。それでもGDPの規模は米国が17年、英独仏とカナダが16年、日本が12年、イタリアは1997年の水準にとどまる。正常化には時間がかかりそうだ。(真鍋和也、ロンドン=中島裕介、北京=川手伊織、ハノイ=大西智也)

 

古河電工、攻めの投資1500億円 財務改善が生んだ余力
証券部 上原翔大

古河電気工業がコロナ禍でも「攻めの姿勢」を続けている。2021年3月期までの3年間の設備投資は計1500億円と、01〜03年以来の高水準を計画する。自動車の軽量化や洋上風力発電の普及に合わせ、部材の生産能力を増強する。強気を続けられる背景には、独自指標を使った財務体質の改善がある。

 

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21年3月期の設備投資は470億円を計画する。17年ぶりの高水準だった19年3月期と20年3月期の年500億円と同水準とする。同様に研究開発費も年200億円とこれまでの規模を維持する。重点投資先は主力の自動車部品と光ファイバー・ケーブルだ。自動車向けでは車体の軽量化につながるアルミニウム製ワイヤハーネス(組み電線)の生産能力をベトナムで増強する。アルミ製は新興国企業には生産が難しく、電気自動車などでの採用拡大もにらみ、いち早く供給体制を拡充する。洋上風力発電の普及で送電に使う海底ケーブルの生産量も増やす。

積極投資の継続を可能にしたのは、過去最大の最終赤字となった04年3月期以降の財務改善だ。01年に米ルーセント・テクノロジーズから光ファイバー部門(現OFS社)を約2800億円で買収したがITバブルが崩壊し、のれんの減損などで1401億円の最終赤字を計上した。そこから有利子負債の削減や自己資本の拡充に向け、不採算事業の撤退や人員削減に取り組んできた。その結果、有利子負債から現預金を引いた純有利子負債は20年3月期で1967億円と半分以下となり、自己資本比率も20年3月期は30%と04年3月期の15%から良くなった。

 

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選択と集中に向け、16年には「事業資産営業利益率」と呼ぶ独自指標を導入した。同利益率は営業利益を棚卸し資産と有形・無形の固定資産の合計で割って算出する。会社全体だけでなく事業別にも計算する。概念としては株主資本と有利子負債を使い、どれだけ効率的に稼いだかを示す投下資本利益率(ROIC)に近い。事業ごとの管理しやすさを考慮し、通常は事業別ROICを算出するために使う売上債権などの項目を除いたこの指標を考案した。

同利益率10%を会社全体での目標とし、個別の事業でも撤退や事業形態を変えるかなどを判断する際の目安とした。16年からこれまでに冷媒の配管事業などから撤退。ほかにも銅製の電線や銅箔などのうち、汎用品の事業規模を縮小して「数十億円単位の損益改善となるまでに積み上げた」(SMBC日興証券の山口敦氏)。17年3月期からコロナ影響が出る前の19年3月期までの事業資産営業利益率の平均は会社全体で12%強と、16年3月期までの3年間平均(7.9%)を大きく上回る。

株式市場も古河電工の取り組みを評価している。モルガン・スタンレーMUFG証券の藤田知未氏はIT投資の加速や国内の洋上風力発電の立ち上がりなどで事業環境が改善するなかで「構造改革の成果が顕在化する局面を迎えた」と評価。7月に投資判断を3段階で最上位の「オーバーウエイト」に1段階引き上げた。

足元では20年4〜6月期に全体の連結営業損益が12億円の赤字(前年同期は49億円の黒字)となるなど、コロナ影響は出ている。それだけに地道に取り組んできた財務改善の努力がなければ、コロナ後をにらんだ投資を続ける余力がそがれていたかもしれない。今後は事業選別に加え、投資の成果で稼ぐ力を伸ばせれば市場の評価もついてくるだろう。

 

 

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