クラウド最大手、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞の取材に、今後すべてのアプリケーション(ソフト)に人工知能(AI)が内蔵されるとの見方を示した。2010年代にIT(情報技術)業界をけん引したのはスマートフォンなどのモバイル機器と、それを支えるクラウドコンピューティング。創業時から同社を率いるジャシー氏に今後10年の見通しを聞いた。

――AWSは年間売上高4兆円規模に育ちながら年率35%で成長しています。創業時にこうした状況を予想しましたか。

「当社の母体である米アマゾン・ドット・コムは信頼性や拡張性、そしてコスト競争力の高いIT基盤を必要としており、他社にも同じ課題があると考えた。事業の先行きには楽観的だったが、成長は想像を上回った。クラウドの活用により企業は固定費を変動費化できた。規模の経済が働き価格も安い。事業のスピードや柔軟性を高められることも評価を受けた」

――今後も高い成長率を持続できますか。

「将来の成長率は予測できないが、成長余地は大きい。世界のIT投資に占めるクラウドの比率はまだ3%にすぎず、大企業や公共部門はクラウドへの移行の初期段階にある。他国は米国より1〜3年遅れているのもこう考える理由だ。今後10〜15年で、データセンターを自社保有する企業は少なくなり、保有企業も用途を限定するはずだ」

――20年代はどのような技術に注目しますか。

「事実上すべてのソフトが何らかの形でAIや機械学習の機能を内蔵するだろう。(利用者の近くでデータを処理する)エッジコンピューティングも実用化される。家庭やオフィス、工場、自動車などあらゆる場所にネットワークにつながる何十億ものモノが置かれ、データを収集・分析して活用できるようになる」

巨大テクノロジー企業の解体論を巡っては「分割の必要性はない」と言及
巨大テクノロジー企業の解体論を巡っては「分割の必要性はない」と言及
「ロボット技術の普及が進み、人手が必要だった業務を代行するようになる。例えばエネルギー企業ではパイプの劣化を人が検査しているが、機械学習で認識技術を高めた自動操縦のドローン(無人飛行機)が代替する。量子コンピューターも数年以内に広範な利用が始まる。10年前に現在の状況は想像できなかったが、今後10年の変化はさらに大きくなる」

――クラウドの分野を見ても、中国のアリババ集団などが追い上げ、米国防総省の案件では米マイクロソフトに競り負けました。

「アリババを含む他社の事業拡大が国家安全保障に影響するとは思わない。ただ、アリババについていうと、一部の顧客が中国での利用を検討している事例があるが、欧米では現在、大きな存在感はない。マイクロソフトに関しては、顧客に話を聞くと『当社の方が技術で2年先行している』と話している」

――米司法省などが巨大テクノロジー企業への監視を強め、解体論も浮上します。今後も技術革新を主導できますか。

「政府の決定には従うが、そもそも企業ごとに状況は異なる。アマゾンの小売事業は世界の小売市場の1%にすぎない。クラウドもIT投資の3%で、当社はさらにその一部を占めるだけだ。分割の必要性は見あたらない。顧客中心主義という企業文化を見失わければ、顧客が必要とするものを提供し続けられるはずだ」

(聞き手はシリコンバレー=奥平和行)


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