データを使い都市を効率よく管理する「スマートシティー」が世界で広がっている。中国は500都市以上が整備に乗り出し、カナダでは米グーグル親会社の傘下企業が建設を本格化した。人工知能(AI)を駆使し交通管理や省エネルギーにつなげる。ただ必要なデータ利用のルール整備が後手に回れば、プライバシーを脅かす「監視社会」の懸念もくすぶる。

湖畔の再開発が進むカナダのトロント。グーグル持ち株会社のアルファベット傘下で、都市計画を手がける米サイドウォーク・ラブズが最先端都市の開発を進める。

道路の横断に時間がかかる歩行者を認識する信号や突然の悪天候から人々を守る自動式の雨よけなどを備える計画だ。開発費用は39億カナダドル(約3200億円)にのぼる。

日本でスマートシティーといえば環境配慮型都市を指すことが多かったが、概念は変化している。野村総合研究所は現在、議論の俎上(そじょう)に載っているのは第3世代だと指摘する。AIとビッグデータを活用して全システムを統合し、グーグルや中国のネット大手アリババ集団といった「プラットフォーマー」と呼ばれるIT(情報技術)大手も取り組むのが特徴という。

米国では米運輸省のコンペで優勝したオハイオ州コロンバス市が、センサーの情報を集約し、交通事故の抑止や駐車場管理といったサービスに役立てる計画をたてる。同州のデワイン知事は「州としても技術の先端を常に行きたい」と語る。

インドのモディ政権は国内100都市をスマートシティーにする構想を進める。首都移転を打ち出したインドネシアのジョコ大統領は新首都を「グリーンなスマートシティーにする」と意気込む。

スマートシティーが異なった形で注目を集めたのは香港だ。8月下旬、「逃亡犯条例」改正案を巡る抗議活動で、カメラとセンサー付きの街灯が次々と壊された。デモ参加者が狙ったのは、香港政府が設置を進める「スマート街灯」だった。当局はスマートシティー計画の一環で交通や気象のデータを収集すると説明するが、デモ参加者は監視社会に「ノー」を突きつけた。

既に中国本土では町ぐるみの監視システムは現実といえる。上海市郊外の「臨港新城」は1100台の顔認証カメラやドローン(小型無人機)で情報を集める。人の密集状況を検知して異常に対処する。クラウド技術を駆使するこのシステムを開発したのはアリババだ。

北京市と上海市では監視カメラで撮った映像をAIで分析している。新疆ウイグル自治区ではウイグル族を追跡するため顔認証システムが使われていると伝わった。ペンス米副大統領は2018年10月に「中国は他に類を見ない監視国家を築いている」と断じた。中国国営の新華社によると、2018年に国内500以上の都市がスマートシティー建設を提案した。

トロントの計画についても、米ベンチャー投資家のロジャー・マクナミー氏は6月、「収集されるデータ量は空前の規模で、悪用される恐れがある。ディストピア(暗黒郷)のような構想だ」と批判する書簡を同市議会に送った。

データを統合して活用する都市は、市民の安全や暮らしやすさを高める可能性を秘めるのは確かだ。個人情報の利用や保存の目的を明確にし、目的外の使用を防ぐ仕組みづくりが重要になる。

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