2020年東京五輪のマラソン・競歩は札幌で――。国際オリンピック委員会(IOC)が唐突に発表した計画に対し、東京都の小池百合子知事が抵抗を続けている。IOCは「決定済み」と聞く耳を持たず、国や大会組織委員会は既に受け入れの姿勢を示している。蚊帳の外に置かれ、外堀を埋められた小池知事の状況は厳しい。

25日、小池知事はIOCのジョン・コーツ調整委員長を都庁7階の応接室に笑顔で招き入れた。小池知事が「IOCの発表には大変驚いています」と切り出すと、コーツ氏は待ち構えていたかのように畳みかけた。「札幌への変更は(IOC)理事会で決定したこと」「選手が倒れると、東京のイメージが悪くなる」

小池知事はこれまで重ねてきた暑さ対策を訴え、マラソンのスタート時間を午前6時から前倒しする考えも示して食い下がる。だが、コーツ氏は「暗くて中継のヘリコプターを飛ばせない」「観客もいないなかで走らせるのはかわいそう」などとはねつけた。

発端は9月下旬、中東カタールのドーハで開かれた陸上の世界選手権の女子マラソンだった。暑さ対策で真夜中の午前0時ごろスタートしたが、気温は32度。ランナーの4割がゴールできずに途中棄権した。車いすで運ばれる選手などの映像が世界中に流れ、主催者の国際陸上競技連盟は大きな批判を浴びた。

万一、東京五輪で同じような事態を招けばIOCが批判の矢面に立つ。深刻に受け止めたIOCのトーマス・バッハ会長は組織委の森喜朗会長に「暑さ対策に責任を取れるのか」と繰り返し迫り、押し切った。

組織委は遅くとも10月8日ごろには会場変更の受け入れを固めたとみられ、10日に予定された五輪観戦チケット第2次抽選に関する記者会見は8日夜になって「関係者との調整がつかなかった」との理由で延期された。

大会関係者などによると、森会長は9日夕、自民党東京都連の総務会長を務める萩生田光一文部科学相と共に官邸を訪ね、安倍晋三首相に説明をした。同日、北海道出身の橋本聖子五輪相にも伝えたという。10日までに秋元克広札幌市長も情報を得ていたもようだ。

ところが、小池知事に伝わったのはIOCが会場変更の計画を公表する前日、10月15日のことだった。都幹部は「IOCは都と事前に協議すると話がもつれて決定が遅れると考えたのではないか」とみる。

小池知事は就任直後の16年、大会費用の見直しを理由にボート・カヌーなどの会場変更を提案。IOCと組織委は寝耳に水で、会場建設や費用負担の議論が数カ月遅れた経緯がある。都議の中には「開催都市の知事なのにIOCとのパイプを作れていない」との批判もある。

16日のIOCの発表を受け、森会長は17日に「受け入れざるを得ない」と発言。橋本五輪相も同日「決められた方向で成功に向け全力を尽くす」と会場変更に前向きな姿勢を示した。

収まらない小池知事はテレビ出演を繰り返し、東京での開催を主張し続けた。暑さ対策など、これまでの準備が無駄になるだけではない。都市内を巡り、チケットがなくても沿道で観戦できるマラソンは五輪の花形競技。皇居前や浅草、東京タワーを巡るコースの自治体や地域団体は、関連イベントを企画するなどして期待を高めていた。

30日から都内で始まったIOC調整委員会会議には、IOCのコーツ氏、組織委の森会長、政府の橋本五輪相、小池知事らが顔をそろえた。小池知事は会場変更への抵抗を続けており、3日間の会議で受け入れに至るかどうかは不透明だ。

ただ、五輪の競技会場の決定権はIOCにある。五輪開幕まで9カ月を切り、札幌に会場を移すのであれば早急に準備を進める必要がある。「小池知事としては簡単に旗を降ろせないだろうが、札幌開催が覆ることはあり得ない」と、政府関係者は話している。

(筒井恒、鬼頭めぐみ)

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