台風15号の被害を受けた千葉県内の太陽光発電所は4時間にわたって燃え続けた(9月9日、千葉県市原市)

太陽光発電など再生可能エネルギーの防災面のもろさがクローズアップされている。今秋以降の相次ぐ大型台風では千葉県内の水上メガソーラー(大規模太陽光発電所)火災など被害が発生、風力発電でも設備の課題が指摘される。日本は山間地や水上などで再生エネの開発が進んだ半面、コスト削減が優先され安全基準作りなどが後手に回ってきた面がある。

東日本各地に大雨の被害をもたらした台風19号。太陽光発電関連のメーカーや業界団体は台風上陸前に、水没した太陽光パネルや蓄電池を触らないよう、ホームページなどで告知した。停電時の電力として防災の観点からも注目される太陽光だが、災害の度に関係者は神経をとがらせてきた。



特に被害が大きかったのは9月上旬の台風15号だ。5万枚の太陽光パネルを設置する千葉県市原市の水上メガソーラーでは、強風にあおられたパネルが破損するなどして火花が散り、周辺部材から火災が発生したもようだ。運営する東京センチュリーと京セラは復旧作業と原因調査を進めるが、長期化の様相を呈している。業界関係者は「数億円のコストがかかる可能性もある」と話す。

9月末に発生した台風17号でも、佐賀県の水上メガソーラーでパネルが破損。豪雨や台風が相次いだ2018年にも、少なくとも全国40カ所以上の太陽光発電所が被災した。同年7月の西日本豪雨では神戸市で斜面設置の太陽光パネルが崩落し、新幹線が運休する二次災害も起きた。

風力発電も同様の課題に直面する。2018年の台風20号では、兵庫県淡路市の風力発電施設が根元から倒壊した。2016年には風力発電国内首位のユーラスエナジーホールディングス(東京・港)の鹿児島県の発電所が台風の直撃を受け、風車の軸部分や羽根が折れた。

再生エネの導入は自然条件や土地条件に依存する。日本の太陽光発電の累積導入量は2018年、中国、米国に次いで世界3位となった。平地が少ない日本では山間地の斜面に太陽光パネルを設置するなど、限られた国土を最大限に活用してきた。

導入促進の裏で防災対策が後手に回った面は否めない。産業技術総合研究所・太陽光発電研究センターの大関崇チーム長は「固定価格買い取り制度(FIT)の導入で、太陽光パネルの施工などの知見の無い新規参入者が急増し、壊れやすいものが増えた」と語る。

官民は手をこまぬいていたわけではない。経済産業省は2018年に太陽光パネルの風に対する耐久性基準を引き上げ、風の強さなどの条件に応じ従来比2倍以上の風圧に耐える設計を求めるよう変更。風力でも2017年に日本工業規格(JIS)を改正し、国際規格を上回る平均風速57メートルという日本独自の耐風基準を設けた。

ユーラスは大型台風が接近する恐れがある場合、各地の発電所への影響を試算し、発電機を前もって停止する仕組みを築いた。台風15号でも静岡県の発電所を止めた。

課題は防災コストをどこまで上積みするかだ。太陽光関連企業の幹部は「パネル設置の強度を高めるための架台の改良や設備増強が今後は必要になる」という。業界ではパネルの価格競争が激しく発電コストが下がる一方、発電事業者の収益確保は厳しくなっている。風力も「欧州に比べ設備にかかるコストが数倍高い」(業界関係者)。安全基準に対応するだけ収益性が下がる。

政府は2018年に定めたエネルギー基本計画で、再生エネが電力に占める比率を現在の約15%(水力含む)から2030年に22〜24%まで高める方針だ。

台風15号では送電網が被害を受け大規模停電を招いた。再生エネは安定し発電できれば、有効な自立型電源になる。近年は蓄電池とセットでの発電も増える。大規模インフラの復旧に頼らない地産地消の非常電源として定着する可能性はある。

産総研の大関氏は「基準や規制の強化一辺倒ではコストが上がるばかりだ。行政と民間が連携し、各地の太陽光パネルの施工をチェックする制度を設けるなどの対策をとるべきだ」と話している。(河野祥平、坂本佳乃子)

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