オムロン系、腕時計型血圧計で医療機器承認


腕時計型の血圧計などウエアラブル機器を健康管理だけでなく、病気の早期発見や発作の予知に活用しようという動きが広がってきた。オムロンが医療機器としての承認を得たほか、ソフトバンクグループなどは医療機関と共に研究を始める。病気や発作の予防に役立てて利用者の健康寿命を延ばし、約6兆円にのぼる脳卒中や心臓病の医療費削減につなげる。

オムロン子会社のオムロンヘルスケアは2019年内に、腕時計型の血圧計を日本で発売する。価格は7万〜8万円程度になる見通し。「据え置き型血圧計と同等の測定精度」(同社)を実現し、医療機器としての承認を国から取得した。

手首に巻いた圧迫帯で血管を圧迫して血圧を測定する手法で、時間や場所を問わず常に血圧を測れるようにした。朝や夜の血圧変動などを把握して心筋梗塞や脳卒中の予防につなげる。



ソフトバンクGは心臓が小刻みに震える不整脈(心房細動)の早期発見を目指す。

国立循環器病研究センター(大阪府)とともにウエアラブル機器やスマホで心電図を測り、スマホに通知する技術を2020年から開発する。同センターが持つ心房細動に関する知見や過去の研究データと、ソフトバンクGが強みとするビッグデータを解析する力や人工知能(AI)を活用する。

テルモも米スタートアップ企業に出資し、心不全の兆候を捉える腕時計型端末を共同開発中だ。米国や日本での事業展開を狙う。

心拍数を測り、健康を管理する腕時計型端末(スマートウオッチ)はあるが、より精度を高め、医療分野での活用を目指す動きが加速する。

高血圧や心臓病は患者の数が多いうえ、発作を起こせば重い後遺症を負うことも少なくない。高血圧の患者は国内で4300万人いるとされる。心房細動を患う人は30年に100万人に達する見通しで、こうした患者の3分の1近くは脳卒中を発症するという。

腕時計型端末では病気の診断はできないが、血圧や心電図を測るほか、病気の兆候を知らせる機能は医療機器としての承認を取得すれば搭載できる。きめ細かく計測することで、発作の数週間から数カ月前に兆候を捉え適切な治療ができる。

医学界もデジタル活用に注目する。日本高血圧学会は今後10年間で国内の患者数を700万人減らそうとしている。

武田薬品工業は今夏、パーキンソン病患者に腕時計型端末をつけてもらって症状を分析し始めた。心拍数や手足の震えなどを解析し、治療薬の効果などを調べる。順天堂大学と120人の患者で検証する。

米IBMは爪に装着できる小型センサーで指の動きや握力を推定し、筋力の衰えや症状の進行などを詳しく分析する。

ミツフジ(京都府精華町)は10月、心電図などを高精度に測れるシャツを研究向けに発売した。将来はてんかん発作の10〜1分前までに警報を出せるようにする計画で、東京医科歯科大学と共にデータ収集を始める。

米調査会社マーケッツアンドマーケッツは医療用ウエアラブル機器市場が世界で2016年の53億ドル(約5700億円)から2022年には144億ドルになると予想する。

医療分野に力を入れる米アルファベットは腕時計型端末を手掛ける米フィットビットを約21億ドルで買収すると発表。米医薬コンサルティング企業IQVIAの日本法人は、ウエアラブル機器やスマホの医療系アプリを使い、日本国内で約3390億円の医療費削減効果が得られると試算する。

(大下淳一氏、赤間建哉氏)

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