強い神経毒、東京港で確認 繁殖力高く根絶は困難

南米原産で強毒を持つヒアリが国内に初めて定着した恐れがある。10月、東京港青海ふ頭で働きアリが約750匹、女王アリも約50匹確認された。巣ができてから少なくとも数カ月たっており、羽のある女王アリが周囲に飛んで新たな巣を作っている懸念がある。海外の事例をみると一度定着してしまうと根絶は難しい。政府は対策を急ぐが、防げるか瀬戸際の状況だ。



ヒアリは体長2.5〜6ミリメートル程度。小さいが慌ただしく動く性質があり、日本の在来アリには見られない繁殖力と攻撃力が特徴だ。

女王アリは雄と交尾した後、1日で1000個以上産卵する力を持つ。年間では25万個にも及ぶ。数キロ先まで飛ぶことができ、飛び降りた地点で産卵し、そこで巣作りを始める。日本の在来アリではまれなドーム状のアリ塚を作り、半年で最大1万匹程度まで一気に増える繁殖力がある。

アリ塚が目立つようになるまでは地面深くに巣を作っているため、潜伏期間中は地面からでは動きが見えづらい。国立環境研究所の生態リスク評価・対策研究室長の五箇公一さんは「気付いた時には女王アリが周囲に拡散し、もう手遅れということになりかねない」と指摘する。

米で数十人の死者

攻撃力も脅威だ。働きアリは尻の部分に針を持ち、「アルカロイド」という成分を敵に注入する。微量でも動物の神経を侵す毒で、人の場合、刺された瞬間に火で焼かれたような激しい痛みを感じることが特徴だ。

アレルギー体質の人は、ハチに刺されたときと同じように、血圧の低下やじんましんがでたり、意識がもうろうとしたりする「アナフィラキシーショック」に襲われることもある。ヒアリが定着した米国ではこれまでに少なくとも数十人の死者が出ている。

五箇さんは「アマゾンの生きるか死ぬかの生息環境で暮らしているため、子孫を残し生き延びる力が高い」と説明する。南米アマゾンにはヒアリの天敵である「ゾンビバエ」と呼ばれるノミバエがいたり、ほかのアリなどとの激しい生存競争があったりする。日本はそうした環境ではなく、被害が広がる可能性もある。

ヒアリの被害は人間や動物だけでなく、インフラにも及ぶ。熱を好む性質があり、様々な電子製品の内部に集団で入り込む。海外では信号機や空港の着陸灯を故障させた例もある。また電線をかじり、ショートさせ火災の原因となることもある。家畜などの被害と合わせて米国では、年6000億〜7000億円の被害が生じているという報告がある。

世界の貿易が活発になるにつれ、ヒアリは各国で問題となっている。船や飛行機のコンテナに紛れ込み、2000年代以降、オーストラリアや中国、台湾など南米から遠く離れた場所でも発見されるようになった。ヒアリが定着した国では莫大な費用を投じて駆除を進めているが根絶には至っていない。

徹底駆除が急務に

唯一根絶に成功したニュージーランドは、比較的涼しい気温のため巣の成長が急速でなく、さらに早期に徹底駆除したことが奏功したといわれる。温暖な日本は、何としても早期に対策をする必要があるわけだ。

今回見つかったのは、各国から貨物船が寄港する青海ふ頭のコンテナ置き場で、地面のコンクリートの継ぎ目にたまった土からヒアリが出入りすることが確認された。多数の女王アリと働きアリからなる「コロニー」と呼ばれる集団がすでに形成されていた。

「定着すれば日本社会に大きな影響が出る。徹底した防除を進める」。環境相の小泉進次郎さんはヒアリ発見直後の10月18日の記者会見で強調した。政府は21日に緊急の閣僚会議を開き「次元の異なる事態の発生が確認された」として最大限の警戒を呼びかけた。東京都も25日に対策会議を開き、住民に注意を徹底するように念を押した。

見つかった場所から半径2キロメートル圏内には学校や公園もある。環境省は東京都などとも連携してアリのエサを地面に置き、ヒアリの有無を調べる調査などを11月末まで重点的に進めている。

国内のヒアリは17年に神戸港で見つかって以降、すでに14都道府県で発見されている。注意を怠ればいつ定着してもおかしくない状況だ。ヒアリとの水際での攻防戦に終わりは見えない。

(安倍大資氏)

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