首都圏の自治体が児童をたばこの煙から守る取り組みを強化している。7月に学校施設内の禁煙を定めた改正健康増進法が施行され、望まない受動喫煙を防止するための取り組みは「マナー」から「ルール」へと変わった。自治体は児童の体内に取りこまれたニコチン量を可視化したり、学校周辺まで禁煙エリアに指定したりして、地域の大人の自覚を促している。

千葉市は10月10日、若葉区の小学校全20校の4年生を対象に、希望者を募って受動喫煙の影響を調べるモデル事業を始めると発表した。尿検査でニコチンが体内に取り込まれてできる「コチニン」の含有量を測り、過去数日の受動喫煙の影響が分かる。尿検査に合わせ、教師らが煙が人体にどのような影響があるかを伝える授業もする。

4カ月児検診に併せて実施しているアンケートによると、若葉区の父親の喫煙率は37%。市平均を11ポイント上回り、突出して高い。千葉市はまず同区の保護者に意識改革を促し、その後全区へと水平展開する。熊谷俊人市長は「屋内の受動喫煙に対し、国民意識が追いついていない。市民理解を広めるためには影響を可視化することが大事だ」と指摘する。

埼玉県熊谷市は2007年から児童の「コチニン」を測り、着実な成果を上げた。市立小学校に通う4年生を対象に検査を実施しており、2018年度コチニン濃度が高かった児童は全体の2%あまり。2007年度比で10ポイント低下した。

同市は濃度が高かった場合、保護者に小児科を受診するよう促している。担当者は「数値で受動喫煙の有無が明確に分かるため、親の禁煙・分煙に対する意識付けが進んだ」と胸を張る。

千葉県君津市も今年度から、小学4年生に対する尿検査を実施する。予算250万円を確保し、市内の小学4年生550人に対し一人4000円の検査料を負担する。

日本禁煙学会によると、親らの影響で受動喫煙を受けた小学生以下の児童は、受動喫煙を受けていない児童と比較して1.5〜2倍、気管支炎や肺炎になりやすい。小児白血病やリンパ腫、脳腫瘍の確率は2〜5倍に増えるという。

禁煙学会の担当者は「病気の可能性が高まるのはもちろん、体の小さい子どもは目まいなど受動喫煙による一時的な症状も大人より早く現れやすい」と語る。

児童を受動喫煙から守るため、踏み込んだ条例を施行する動きもある。東京都調布市では学校や児童福祉施設のほか、周囲の道路まで禁煙の対象エリアとして条例に明記した。学校の敷地内のみを禁煙とする国が施行した改正健康増進法よりも厳しい内容だ。

調布市の担当者は「条例策定に向けた検討会では、通学路での受動喫煙に関する問題意識も多く上げられた。市内が会場となっている東京五輪・パラリンピックも控える中、早急に対策を打ちたかった」と語る。

日本禁煙科学会理事長を務める京都大大学院の高橋裕子特任教授は「児童に主眼を置いた受動喫煙対策は世界的にも珍しい。社会の理解を得やすく、自治体としては比較的簡単に政策をまとめることができる点で画期的だ」と語る。今後首都圏の各自治体の取り組みが成果を出せば、全国的な広がりにつながりそうだ。(出口広元)

■受動喫煙
 世界保健機関(WHO)によれば、受動喫煙で死亡する人は年間100万人。うち5歳未満の児童は6万人に達するという。
 禁煙ムードの世界的な高まりや東京五輪・パラリンピックを控え、政府は2018年7月、改正健康増進法を成立させた。同法は段階的に施行され、2019年7月には学校や病院の敷地内が禁煙となった。全面施行は20年4月。以降は飲食店も原則禁煙となる。
 政府の対応を受け、首都圏の各自治体でも取り組みが広がっている。千葉市は2020年4月から改正健康増進法よりさらに規制内容を強化した独自の受動喫煙防止条例を施行する。従業員を雇う飲食店は店舗面積を問わず原則禁煙とする。

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