アマゾンも個人配送網

配車サービス「ウーバー」の物流版といえる個人配送が本格的に広がり始めた。スマートフォンのアプリを用い、空き時間に荷物を配る。大量の荷物を扱うアマゾンジャパン(東京・目黒)はこうした個人を活用した配送網の構築に乗り出した。国内の宅配便数は急増し、運転手不足も深刻ななか、自由度の高い働き方が注目されつつある。長引く物流危機の解決策になる可能性もある。

「週50時間で月額40万〜43万円を稼ぐことが可能。時間と日時を自由に選べる働き方です」――。アマゾンジャパンは首都圏と愛知県の一部地域で、個人の運送事業者に宅配を委託する「アマゾンフレックス」を始めた。

対象は貨物軽自動車運送事業の届け出をした軽貨物車(黒ナンバー)を持つ20歳以上の個人だ。受注から最短2時間で商品を届ける「プライムナウ」などの配送をする。従来も荷主と契約する個人はいたが、2時間単位の業務でより柔軟に働くことができる。

■スマホに配送順
6月上旬の朝9時。東京都大田区にあるマンションのインターホンを押すのはポロシャツ姿の40代の男性だ。訪問客のようだがアマゾンのロゴ入りの段ボールを抱える。男性はフリーのトラック運転手で、企業間の緊急配送やレンタカーの回送の合間に、アマゾンの仕事も始めた。

「軽バンドライバー募集 アマゾンとの直接契約」。ポスターがいくつも並ぶ配送センターの駐車場に男性が着いたのは午前7時。45個の荷物を受け取り、軽バンで午後3時までに配る。ルートはアプリ上に示され、荷物には配達する順番のシールが貼られていて初心者でも迷わない。正午すぎには配達先をすべて回り、車には再配達となった大小10個の段ボールが残った。

しかしこれで業務は終了。残りは次の時間帯の運転手に荷物を引き継ぐ。「ノルマもなく、自分のペースでそこそこ稼げる。だから人が集まる」

この日の報酬は1万4000円だった。土日や雨の日には報酬が増える。アマゾンフレックスだけで生計を立てる仲間もいるという。

アマゾンが日本市場に参入したのは2000年。ネット通販の成長や共働き家庭の増加などを背景に、宅配便の取扱数は増え続け、17年度に42億個を超えた。20年代には60億個に増えると予測する専門家もいる。

宅配便最大手のヤマト運輸は17年、運転手不足を理由に最大顧客だったアマゾンに3〜4割の値上げを提示し、契約を大幅に縮小。当日配送から撤退した。アマゾンはその経験で中堅・中小の運送会社を束ね、独自の配送網を築いてきた。
現在は丸和運輸機関やSBSホールディングスなど9社が名を連ねる。当日配送などへの消費者のニーズは根強く、利用頻度も高まっている。アマゾンにとっては配送費の値上げが続く宅配大手と比べ個人配送は物流コストを抑えられる。個人を取り込み、独自の配送体制を整えたいとの思惑がうかがえる。登録者数を公表していないが、今後は地域を拡大していくもようだ。

■物流大手は警戒
国内の宅配便市場はヤマト、佐川急便、日本郵政傘下の日本郵便が9割超のシェアを握ってきた。「3強の時代が終わるのもそう遠くない」。宅配大手のある幹部は自社物流を強化するアマゾンの動きに警戒感を募らせる。運転手不足の隙間を埋める個人配送の広がりは、業界地図を塗り替える可能性がある。

スタートアップのCBクラウド(東京・千代田)は、1万人超の個人事業主の運転手を束ねる。企業などから宅配やチャーター便の依頼を受け、登録ドライバーにアプリを通じ紹介する。

運転手は月500人ペースで増えているといい、松本隆一社長は「大手と比べ自由な働き方が支持されている」と話す。アマゾンフレックスや料理宅配サービス「ウーバーイーツ」と組み合わせ働く人も多いという。CBクラウドは8月に入り、佐川急便などから総額約12億円を調達し、個人の運び手を活用した新サービスを開発予定だ。

オフィス用品通販のアスクル傘下のエコ配(東京・港)は、勤務時間を3つのシフトから選べる「エコ配フレックス」を始めた。業務に必要なものはスマホだけ。勤務当日朝までにシフト申請し、エコ配が用意した台車などで配達できる。荷物を1個配ると150円の収入になる。

全国約1万5000店の新聞配達店を活用した宅配網づくりを目指すのはラストワンマイルソリューション(東京・中央)だ。地域を熟知した配達員が、空き時間を使った副業として宅配大手から委託された荷物を配る。まず5年以内に都市部の1800店舗に広げ、配達員1万人の確保を目指す。近藤正幸社長は「最後に荷物を受け渡すラストワンマイルを担うのは当面はヒト。大手でさばける荷物量には限界がある」と話す。

トラックを含む「自動車運転職」の有効求人倍率は3倍近くで推移し、運転手不足の出口は見えない。米ボストン・コンサルティング・グループは高齢化による大量退職などで27年には国内で24万人の運転手が不足すると試算する。増え続ける宅配便をさばくには誰でも配達員になれる仕組みが欠かせない。副業解禁と運転手不足が日本の物流を変える可能性がある。

(宮嶋梓帆)

  • 1970.01.01 Thursday
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  • 22:11
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