就活サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが学生の「内定辞退率」の予測を企業に販売していた問題で、一部の大学でリクナビ離れが出始めた。同社の小林大三社長は26日の都内での記者会見で「私たちへの信頼は失墜しており、事業の存続に関わるレベルだ」と危機感を示したが、実際に大学からの不信感が高まっている。

明治大学は今秋に開く就活ガイダンスで「マイナビ」「キャリタス就活」などの就活サイトは学生に紹介するが、リクナビは対象外にする。学生に推奨できるサービスではないと判断したようだ。都内の別の私大も「10月の就活ガイダンスの一部をリクルートキャリアに依頼する予定だったが、他社への見直しを検討している」と話す。

リクルートキャリアは今回の問題で個人情報保護委員会から是正勧告を受けたことを受け、28日までに全国の大学に「大学関係者のみなさまに十分なご説明ができておりませんでした」と謝罪するメールを送った。だが、ある都内私大の就職支援課の関係者は「どうやって学生視点をサービスに取り込むのか具体策に乏しい」と冷ややかだ。

この都内私大はこれまで、リクルートキャリアが提供する就活マナー講座やエントリーシートの書き方講座などを活用してきた。ただ、今回の問題を受けて「リクルートのサービスの活用を一時やめた」と語る。「問題の全容が明らかになっておらず、現段階ではまだ信用できない」と話す。

登録学生数を競う就活サイトにとって、学生との接点となってサイト登録を促してきた大学の離反は痛手だ。企業からは「リクナビ経由での応募が減れば、費用対効果から求人出稿の中止も検討する」(大手メーカー)という声も上がる。

一方で、就活プラットフォームとしての存在感も大きい。「リクナビを使わないと学生への露出機会が減る」(金融大手)、「リクナビはインターンで学生と接点を持つ上で欠かせない」(中堅商社)といった声も依然、根強い。

就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京・千代田)が学生の「内定辞退率」を予測したデータを企業に販売していた問題が長期化してきた。そもそもリクルートはなぜこのような事業を始めたのか。経緯をたどると、同業大手マイナビとの競争に固執して学生の目線を見失ったリクルートの姿が浮かび上がる。

リクルートキャリアは2012年、リクルートが持ち株会社体制に移行する際に中核的な事業子会社として100%出資で設立した。リクナビを含む人材事業の売上高は約3200億円で、リクルート全体の1割程度を占める。リクルートの事業は対象こそ不動産や生活関連など多岐にわたるが、大半は個人と企業を情報で結ぶという面では共通する。情報活用で信頼が揺らげば影響は大きい。

リクナビで集まったデータを企業に販売する「リクナビDMPフォロー」事業の企画が立ち上がったのは16年ごろだ。だが、「学生の心情などを十分に踏まえたサービス設計や経営判断ができていなかった」と同社関係者は振り返る。

リクナビDMPは、企業が持つ就活生の個人情報とリクナビの閲覧情報を結びつけ、辞退率を予測して企業に提供する。「『倫理的に問題があるのではないか』と反対するエンジニアもいたが、収益拡大という結果を出したい営業担当に押し切られたようだ」と当時を知る元社員は話す。

DMPが生まれた16年は14年に就職情報サイト「マイナビ」に掲載企業数で抜かれ、巻き返しに躍起になっていた時期だ。競争激化でリクナビの存在感が低下し、新規事業も生まれないなか、リクルートキャリアへの風当たりはグループ内でも強まっていた。

苦境の中で手を出したのが予測データだった。親会社のリクルートホールディングス(HD)が掲げる人工知能(AI)ビジネスにも合致する。倫理上の問題を指摘する警鐘は競争に敗れる焦りから、いつしかかき消されていった。

問題発覚後の対応にも、コーポレートガバナンス(企業統治)上の批判が出ている。外部へのデータ販売にとどまらず、自らも内定辞退率の予測データを使っていたと公表したのは問題発覚から約2週間以上が経過した8月19日だ。経営陣が公の場に出ての説明はいまだに実施していない。

リクルート側は記者会見を開かない理由を「プレスリリース以上の話ができない」と主張する。ただ、就活サイトはリクナビなどによる寡占状態だ。リクナビ経由でしか応募できない企業もあるなど「就活のプラットフォーム」になっており、社会的影響は大きい。今回の問題は、日本全体で取り組みが進むデータ経済の歩みを鈍らせる可能性もあるだけに、丁寧な説明が欠かせない。

日本大学危機管理学部の小向太郎教授は「辞退率の対象だったかの有無を知らせるだけでは不十分」と指摘。「学生には予測した個人ごとの辞退率や提供先企業も含めて通知すべきだ。本人からの開示請求をまたずに、リクナビ側から出していくべきだろう」と話す。

  • 1970.01.01 Thursday
  • -
  • 14:02
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

Comment





   
この記事のトラックバックURL : http://kokoro-sukui.life/trackback/140

PR

Calendar

S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930     
<< September 2019 >>

kokoro_sukui

kokoro_sukui2

Archive

Recommend

 (JUGEMレビュー »)


Mobile

qrcode

Selected Entry

Link

Profile

Search

Other

Powered

無料ブログ作成サービス JUGEM