レジ袋やペットボトルで社会的な関心が高まる海洋プラスチック(廃プラ)問題がアパレルに波及してきた。衣料品に含まれるポリエステルなどが洗濯や廃棄で粒子となり、魚などの海洋生物に取り込まれていることが明らかになってきた。欧米を中心に消費者は環境に配慮した企業の姿勢を重視している。日本のアパレルや素材メーカーも対応商品や技術の開発を迫られている。


「洗濯時に毛が落ちにくい素材を見せてほしい」。帝人子会社で繊維素材を開発する帝人フロンティア(大阪市)に、欧米のアパレルやスポーツメーカーからこんな要望が寄せられている。

同社が開発したのは、繊維の抜け落ちを抑えるポリエステル素材。防寒着として知られるフリースは保温性を高めるために起毛するが、洗濯時に繊維のくずが流出しやすい。糸を輪のように織り込むことで毛が抜け落ちにくくした。フリース素材の保温性ややわらかい肌触りは保ち、「アパレルだけでなく寝具などでも展開できる」(同社)。2019年度に50万メートルの生地の販売を目指す。

プラスチック素材による海洋汚染問題は、発生源としてレジ袋やペットボトルなど目に見える廃棄物に関心が集まる。衣料品の洗濯などで抜け落ちるマイクロプラスチックと呼ばれる繊維は直径が5ミリメートル以下の粒子。影響が本格的に指摘されたのはここ数年のことだ。

東京農工大の高田秀重教授の研究チームが東京湾で実施した調査では、64匹のイワシの8割から溶けていないプラスチックが測定された。形態別では80%以上がプラスチックの破片だったが、衣料品などの化学繊維が5%程度、化粧品などに使われるマイクロビーズも10%程度含まれていた。

いずれも人体にすぐに大きな影響を及ぼす規模ではないが、「プラスチック自体に汚染物質が含まれ、魚や人体に影響を及ぼす可能性も否定できない」(高田教授)。

衣料品から出る廃プラへの対応は企業レベルでは海外勢が先行する。フリース衣料を多く取り扱う米パタゴニアは18年から調査機関などとマイクロプラスチックの海洋汚染の実態を調査。カナダ近海の海水ではプラスチック粒子の7割が衣料品などの繊維が原因だったとの調査もある。

家庭の洗濯機で抜け落ちる繊維の状態なども自社で分析。洗濯中のマイクロプラスチック流出を大幅に削減できる洗濯バッグを開発した。衣料品との摩耗や抜け落ちを防ぎ、衣料品の寿命も延びる。「マイクロプラスチックの海洋への影響について消費者の理解を深める」(日本支社の篠健司環境・社会部門マネージャー)狙いもある。

アディダス・ジャパンは100%りサイクル可能なランニングシューズを4月に発表した。次に見据えるのが「シューズからシューズ」を作る取り組みだ。6月から全国の14店舗で不要なアパレルやシューズを回収するプロジェクトを始めた。

  • 1970.01.01 Thursday
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  • 08:50
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