極東の両雄 脱落の危機感

ガイア――。検索サービス「ヤフー」を手がけるZホールディングス(HD)とLINEの経営統合プロジェクトはこう名付けられた。ギリシャ神話の女神の名前から地球を意味するようになった言葉だ。

再編劇のきっかけは今年春のZHDの川辺健太郎社長とLINEの出沢剛社長らの会食だ。過去に資本提携を持ちかけられた際にはLINEは取り合わなかったが、今回は違った。

絶対に気づかれないようにしよう――。ZHDからは川辺社長と腹心の小沢隆生取締役、LINEからは出沢社長と舛田淳取締役らがメンバーとなり、都内ホテルなど場所を転々と変えて会合を重ねた。

鋼鉄船VS木造船

「やはり経営統合だ」。9月上旬にはLINEの親会社の韓国ネイバーの創業者である李海珍(イ・ヘジン)氏が東京都港区のソフトバンクグループ本社を訪問。孫正義会長兼社長と会い、互いの子会社であるZHDとLINEの統合方針を確認した。

「孫と李の同盟」。韓国メディアは今回の統合をこう報じる。2人は日韓両政府の関係が悪化するなかでも信頼を醸成してきた。日本からの半導体材料の輸出手続きが厳格化された7月4日に孫氏はソウルの大統領府を訪ね、文在寅(ムン・ジェイン)大統領から「韓国企業の世界進出を支援してほしい」と要請された。その夜、韓国財界関係者と会食した孫氏はネイバーを称賛して、居合わせた李氏も笑顔を返したという。

李氏は表舞台にはほとんど出ないが、ネット業界の知名度は高い。米グーグルは2000年代に世界各国で検索サービスの攻勢を強めたが、過半のシェアを握れなかった数少ない国の一つが韓国だ。ネイバーは今でも8割のシェアを握る。

自国市場の防衛に成功した李氏だが、データ経済のなかで覇権を握ろうとする米国と中国の巨大IT(情報技術)企業との競争では窮地に立たされた。数年前から「グーグルや騰訊控股(テンセント)には世界最高レベルの人材がいる。鋼鉄船300隻を持つ敵に、我々は木造船10隻で対抗しようとしている」と社内に危機感を訴えてきた。

「もう予算がない」。かつては優良子会社だったLINEもスマートフォン決済のシェア争いで販促資金が足りなくなるなど、苦境に陥っていた。

「スケール小さい」



18日の記者会見でZHDとLINEの両社長は何度も「米中の巨大ITへの危機感」を語った。「強い者がどんどん強くなり、差が開く」(出沢氏)。サービスの月間利用者数はヤフーが約6700万人でLINEが約1億6千万人だが、巨大ITは20億人超だ。ヤフーとLINEの研究開発費は合計約200億円だが、グーグルなど「GAFA」は兆円単位だ。「スケールが小さいので気にしていない」。GAFA関係者は2社の統合をこう評する。

生活の様々な場面で生まれるデータをより多く獲得するために巨大ITは規模拡大にまい進する。日韓ITの両雄も世界で一定の存在感を持たなくては競争のルール作りの場に声が届かず、手をこまねいていれば母国市場も奪われかねない。経営統合は米中の巨人のはざまで生き残るための必然の選択だった。

  • 1970.01.01 Thursday
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  • 22:26
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