あなたは大都市で生活したいですか――。

「経済発展は都市から始まる」。米国出身の女性ノンフィクション作家、ジェイン・ジェイコブズは都市を起点とする成長が国家全体に波及すると説いた。18世紀に始まった産業革命で都市にはヒトやモノ、カネが効率的に集まり、繁栄をけん引してきた。いま、この都市への集中による発展モデルが揺らいでいる。

 


2000年には、インダストリー4.0(第四次産業革命)が始まっていた。あらゆるモノとインターネットがつながり2億人が利用、2013年には100億人まで増加、2020年には500憶人とされていた。つまり、持ち運びのできるスマートフォンを使って、地図を利用したり、検索エンジンで様々なショップを自由に探し求めている。またフェイスブックやツイッターやLINEなどSNS(ソーシャルネットワーキング・サービス)を生活の一部として当たり前に活用している。

これに加えAIによるあらゆる産業に革命が起き、人の代わりに社会をコントロールしようとしている。果たしてそれが我々の未来にとって望ましい姿なのか?(瑚心すくい)

 

 


 

国連によると、1970年時点で145だった世界の人口100万人以上の都市は、2018年には548に増えた。1千万人以上のメガシティーも30を超える。

新型コロナウイルスは人口1千万人以上の中国の武漢市で発生したとされ、ニューヨークやパリ、東京などを直撃した。人々が密集することを前提とした大都市のリスクが露呈した形だ。

歴史的にも、都市の発達と感染症の関係は深い。14世紀に流行したペスト(黒死病)は欧州人口の3分の1を死に追いやった。約100年前にはスペイン風邪が4000万ともいわれる人々の命を奪った。

これほどの犠牲を払っても経済効率を優先し、人々は都市での生活を選んできた。今や世界人口78億人のうち40億人以上が都市に住む。長谷川真理子・総合研究大学院大学長はこうした現状を「人類史上の異常な状態」と表現する。

 

郊外に住む人々が都市の高層建築物の中で働く現在の都市モデルは、米国で20世紀に発展した。立ち並ぶ高層ビル群は経済成長の象徴とされ、世界の主要都市がこぞって取り入れてきた。新型コロナはこのモデルに疑問を投げかけた。建築家の隈研吾氏は「高層都市は時代遅れになった」と指摘する。

企業の動きにも、こうした見方がにじむ。東京都心の大型オフィスの空室率は足元で1%以下だが、不動産サービス大手シービーアールイー(CBRE、東京・千代田)の坂口英治社長は「1、2年で5%に上がる可能性も否定できない」と話す。社員が一堂に会するオフィスが必要か、企業は考え始めた。

6月下旬に再選を果たしたパリ市長のアンヌ・イダルゴ氏は「エコロジーで住みやすい都市に変革する」と宣言した。市内の6万台分の路上駐車場を削減し、代わりに自転車道や緑地の整備を進めるという。ニュージーランド政府も、市街地での歩道の拡張や自転車道の整備を打ち出した。

人口分散のアイデアは古くからある。ルネサンスの巨匠、レオナルド・ダビンチも欧州のペスト禍を経験し、人口の密集を防ぐ都市像を描いた。感染症が流行するたび、都市のあり方を見直す機運は高まった。

 

これまでとの決定的な違いはテクノロジーの存在だ。デジタル技術の発達で、どこにいても情報を自由にやりとりできる。狩猟、農耕、工業、情報という4つの社会に続き、仮想空間と現実空間が融合した「第5の社会」を迎えつつある。

 

「実際に対面しているみたいですね」。竹中工務店の研究員の梅津佳奈子さんは8月下旬、顔よりも大きなパネルに向き合って思わずこう漏らした。パネルは仮想現実(VR)のスタートアップ、H2L(東京・港)が開発した。2次元の透過ホログラムで姿を映し出し、「その場にいるような存在感を実現できる」(岩崎健一郎社長)。

事務的なやり取りにとどまらず、雑談も自由に交わせるのが特徴だ。銀行など10社以上が導入を決め、年内により現実に近い3次元のサービスを投入する考えだ。竹中工務店は建設会社としてコロナ後の働き方を模索するうえで、一つの可能性としてH2Lの技術の検証に取り組む。

従来のやり方にとらわれず、生産性を維持しようという試みが様々な国や企業で続いている。規模と効率を追求した都市の存在意義が問われている。新しい時代は、働く町も、国すらも選ばない世代が増えてくる。繁栄する力は人口の多さではなく、知をひき付ける求心力が左右する。知の集積が都市そして国家の競争力を決定づける。=この項おわり

 

 大越匡洋、加藤貴行、上杉素直、島田学、押野真也、高橋元気、大島有美子、鳳山太成、原田逸策、奥田宏二、生川暁、竹内弘文、榎本敦、森田英幸、熊田明彦、天野由衣、白尾和幸、前田尚歩、蛭田和也、松浦奈美、江渕智弘、三木理恵子、佐伯遼、清水孝輔が担当しました。

  • 1970.01.01 Thursday
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  • 08:07
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