2013年秋、「AI(人工知能)のゴッドファーザー」ジェフリー・ヒントン(71)とAI革命を果たしたヤン・ルカン(59)のもとに1本の電話がかかってきた。「うちに来てくれませんか」。声の主は「ザック」ことマーク・ザッカーバーグ(35)。フェイスブック創業者だ。

■ザックからの電話

ルカンは当時、ヒントンと連絡を取りながら、ニューヨーク大学でAIを研究していた。

2012年の国際大会でトロント大学のヒントンのチームが圧倒的な強さでトップを取ったのをきっかけに、AIの「冬の時代」は終わりを告げ、弟子のルカンのもとにもAIを学ぼうと世界中から俊才が集まり始めていた。

IT企業は我先にとAI人材の囲い込みに入り始めルカンの教え子にも声がかかった。フェイスブックもその一つだったが教え子にルカンはこう忠告していた。「やめた方がいい」。当時のフェイスブックにAIの研究所がなく、その本気度を測れなかったからだ。自らもザックに「アドバイスはできるが、入社は難しい」と断った。

ザックはそれでも諦めない。2013年11月下旬、ニューヨークに住むルカンが西海岸のAIの会合に出ると聞きつけるとフェイスブックはルカンに本社訪問を打診した。承諾するとザックのアシスタントからメールが届いた。「1日早く来てマークの家で食事をしませんか」

■「私たちを手伝ってくれ」

シリコンバレーの中心地パロアルトにあるザックの自宅を訪れると、チキン料理のディナーが振る舞われた。ワインはブルゴーニュ産。フランス出身のルカンの好みを事前に調べていたようだ。ザックの妻のプリシラが席を外すと、親子ほど年齢が離れた2人でAIについて語り始めた。

フェイスブックはヒントンのAIに使われている深層学習(ディープラーニング)の活用に着手していた。ザックはディープラーニングに関するルカンの論文も読み込んでいた。

翌日、フェイスブック本社をルカンが訪れ一日かけてチームのメンバーと話し終えると、再びザックが登場した。「私たちを手伝ってくれますか」。ルカンは答えた。「2つ条件がある。私はニューヨーク大を辞めない。ニューヨークからも離れない」。

「いいでしょう」。ザックは本社があるシリコンバレーから飛行機で6時間かかるニューヨークにAI研究所を設けるとその場で決めた。

ルカンは今では世界的なAI学者だが「冬の時代」には職場を転々としていた。その過程で日本企業にも足跡を残していた。

フランスからカナダに渡り、トロント大学のヒントンの下で1年間のポスドク(博士研究員)生活を経て米AT&T(当時)の名門ベル研究所に職を得た。1996年からは開発チームを率いた。メンバーのウラジミール・バプニック(82)やレオン・ボトウ(54)は今やAI研究の権威だ。

■NECが助け舟

ルカンのチームは当時、手書きの郵便番号を認識する技術を開発し、実績を残しつつあった。だが2000年代に入るとドットコム・バブルが崩壊。AT&Tも業績が悪化し、ルカンは上司からこう告げられた。「君たちの半分は、ここから去ってもらう」

そこで助け舟を出したのがNECだ。ルカンは02年1月、米東海岸ニュージャージーにあるNECの北米研究所に移った。バプニックとボトウもルカンに続いた。ただ米国で起きたIT不況はすぐに日本にもおよび、NECも02年3月期に最終損益が3120億円の巨額赤字となる。すると会社からショッキングな言葉を告げられた。「我々はもう機械学習に関心がない」

機械学習はルカンが没頭していたディープラーニングを包含するAIの根幹の理論。「ここでは思っていた研究ができない」と悟ったルカンは、わずか1年8カ月でNECを去った。

とはいえNECに残した遺産は小さくない。AT&Tからルカンを追ってきたバプニックやボトウはNECに残ったからだ。北米研究所に残った
のルカン学派は遠い本国・日本の研究者たちにも多大な影響をおよぼす。

■ルカンの遺産
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各地の大学が増加を続けるイスラム圏からの留学生への対応策を相次ぎ拡充している。イスラム礼拝室の開設や教義に合致したハラル食の導入など修学・研究環境の改善を通じて、グローバル化や大学の特色をアピールし競争に備える。ともに学ぶ日本人学生や教員にとっても異文化理解や意識改革につながっている。

金沢市郊外の山裾に広がる金沢大学角間キャンパス。校舎の階段横スペースを改造した礼拝室にはお昼の礼拝時刻になるとイスラム教徒の留学生が続々とやってくる。

リーダーの男子留学生が聖典コーランの一節を唱え、全員が聖地メッカの方角に向かって静かに祈りをささげる。カーテンで仕切られた奥のスペースでは女子学生もお祈りし、広さ8畳ほどの礼拝室はすぐに満員となった。

大学院で電子情報科学を専攻するマレーシア人女子留学生のヌルル・アマリナさん(23)は来日5年目。「礼拝室ができるまでは空き教室などを探すのに苦労したが、今は安心」とほほ笑む。

インドネシア出身の博士課程、ムハンマド・アミンさん(25)は環境デザイン学を研究する。「ここなら落ち着いて礼拝ができる。先生方や日本人学生も、ハラルや断食などイスラム教の教義や慣習を十分理解してくれている」と話す。

こうした需要に応え、ディスプレー大手の丹青社はハラル・ジャパン協会と共同で和風の建具や畳を使ったユニット式礼拝室を開発し、関西学院大学や立教大学などに納入した。「和の空間で礼拝したいというイスラム教徒の意見を取り入れた」と同社企画開発センターの担当者は話す。他の大学からも問い合わせが来ているという。

日本学生支援機構の調べによると、インドネシアなどイスラム教徒が人口の半数以上を占める国・地域からの留学生は2018年度で約1万8000人。2014年度以降に目立って増え、5年間で約2.3倍になった。

約1600人の留学生のうち100人前後がイスラム圏出身という上智大学では2016年にハラル認証を受けた学生食堂をオープンした。留学生へのアンケートで食事に苦労する、というケースが多かったからだ。

イスラム教徒以外のベジタリアンの学生にも配慮し、2017年4月には学生食堂で大豆ミートを使ったハンバーグやカレーなどのメニューを導入した。より動物性食品の制限が多いビーガン(完全菜食主義者)対応の日替わりメニューも登場し、日本人学生にも人気だ。

食堂の席数が足りないため、昨年からケバブやエジプト料理など、豚肉やアルコールを使わないメニューの移動販売車に来てもらっている。

留学生の生活支援も広がる。約650人の留学生が在籍する首都大学東京では、日本人学生が留学生と同じ寮に住んで生活をサポートする「レジデント・アシスタント」制度を導入した。「地震などの防災対応」「ゴミ出しルール」などの異文化理解講座を定期開催し、博士課程の大学院生が留学生の日本語論文作成を支援している。

「SNSの普及で留学生の活動範囲は大きく広がっている。今後は八王子市などの地域と連携した支援体制も充実させたい」(留学生交流係・佐藤麻衣子係長)という。

05年に学食にハラルを導入するなど早くから留学生の生活環境改善に取り組む名古屋大学では、ウズベキスタンなどイスラム圏出身学生200人以上が学ぶ。

名大ではイスラムになじみがない学生や教員向けに「ムスリムの学生生活」と題した小冊子を作成した。礼拝やハラルなどイスラムの教義や生活習慣を日・英語でわかりやすく解説している。

名大国際教育交流センターの田中京子教授は「目的はあくまでも多文化共修。世界中の学生が一緒に学べる環境になれば結果的に留学生も増える」と話す。

(シニア・ライター 山田剛)




10代の自殺防止には、大人社会の“治療”が不可欠

「学校が死ぬほどつらい子は図書館へいらっしゃい」

 神奈川県鎌倉市立の図書館の公式ツイッターが、13時間で4万回以上もリツイートされたのは今からちょうど一年前。

If you feel like shooting yourself , don’t .Come library for help instead.

 米国の図書館に貼られている、ピストルを自分の頭に突きつけている男とその周囲に本がたくさん積まれているポスターに書かれていたフレーズを思い出し、図書館司書の女性はつぶやいた。

 夏休み明けに自分を追いつめる子どもが増えることを知り、「図書館には問題解決のヒントや人生を支える何かがあるよ」と、メッセージを送りたかったのだそうだ。

 平成27年版自殺対策白書によると、1972〜2013年の42年間の18歳以下の自殺者を日付別にまとめたところ、9月1日が131人で最多だった。春休み明けや大型連休明けも100人近い日があり、長期休暇が終わった直後の自殺が目立つ。



学校でしんどい思いをしていた子どもが「学校に戻ること」のプレッシャーに耐えられなくなったり、夏休み中に元気を取り戻した子どもが、「何も変わっていない現実」にショックを受けたり……。「生きていても仕方がない」、そんな風に自分を追いつめてしまうのである。

 ちなみに、2015年に自殺という悲しすぎる選択をした子どもは、小学生6人、中学生102人、高校生241人で(厚生労働省調べ)、全自殺者数の約2%を占める。また、10〜14歳では死亡者数の約20%、15〜19歳では約36%が「自殺」で亡くなっていて、15歳から39歳までの年齢層の死因のトップは、すべて「自殺」だ

数年前、小学3年生の子がベランダで首を吊って自殺するという事件があった。まだ10歳の子が命を断つ社会。これは異常と言わざるをえない。

本来、人間は「生きよう」とする動物である。必死で立ち上がり、何度も転びながら前に歩こうとする。3カ月微笑と呼ばれる赤ちゃんの愛くるしい笑顔も、人が社会の中で上手く「生きていくため」に、先天的に組み込まれていると考えられてるのである。

 だが、その生きる力を萎えさせるナニかが社会に存在し、子どもを追いつめる。

 「リストカットする子どもは誰一人として、最初からそういう子だったわけではありません。会社でストレスがたまった父親は、母親を家庭で怒鳴り散らす。ストレス社会でイライラした大人たちが、それを子にぶつける。その結果、子どもは傷つく。誰からも褒められたことがない。誰からも認められたことがない。そんな子どもは、自分を肯定することができません。自分は生きている意味がないと、自ら命を断とうとするのです」

 数年前に、自殺予防のシンポジウムでご一緒させていただいた「夜回り先生」こと水谷修氏はこう訴える。

 死にたくて死ぬ子はひとりもいない、と。学校の中だけの問題じゃないのだよ、と。社会の問題でもあるんだよ、と。

 そして、今回。ある女性教師の話を聞き、「自分を肯定することができず、生きてる意味を失う」のは、子どもだけではないと痛感した。

 先生を取り巻く環境の厳しさは、これまでも幾度か取り上げてきた。が、今までとは異なる“苦労”を伺ったので、今回は「先生の仕事とストレス」について改めてアレコレ考えてみようと思います。

新学期になると、突然連絡が取れなくなる先生
「9月1日は、私たち教師にとっても“魔の日”。学校に来なくなる先生がいるんです。昨年も、突然、連絡が取れなくなった先生がいて、結局、辞めてしまいました」

 こう切り出しだのは29歳の小学校の教師。今年から6年生の担任になった、とてもやさしそうで、かわいい、女性である。

「前にいた学校は比較的裕福な家庭の子どもが多かったんですが、今いる学校は貧困家庭が多い地域です。そういう学区があるとは聞いていたのですが、想像以上で。正直、ショックでした。

 例えば、給食のない日。お弁当を持ってこない生徒がいます。親に何度連絡しても、『わかりました。気をつけます』って言うんですけど、絶対に持たせない。子どもがかわいそうなので、私、自分のお弁当をたくさん持っていって子どもにわけています。

 でも、本当はいけないんです。最初、それを知らなくて。校長にひどく怒られました。『食中毒にでもなったら大問題になる』って。とにかく学校は徹底した事なかれ主義なので、余計なことはやっちゃいけないんです。

 夏休み中は、ほとんど毎日補講です。貧困家庭の子どもは塾に通っていないし、勉強する習慣がありません。低学年で授業についてこれなくなるので、高学年になっても困らないように夏休みを利用するんです。

 補講は午前中で終わりますが、そのまま残って自習する子もいます。なので、やっぱりお弁当が必要で。毎朝、大きなお弁当箱にたくさん詰めて、子どものために持っていきます。

 とても大変です。でも……、私はその時間が結構好きなんです。夏休み中のほうが、子どもと向き合える時間が増える。補講を担当するのも、やる気のある先生だけなので楽しいです。ものすごく大変ですけど、はい。とても楽しい。

 前の学校では、夏休みの補講はありませんでした。ほとんどの子どもが塾に通っているので必要ないんです。それよりも二学期の修学旅行とか文化祭とか、子どもが満足できるように準備してくれって、親たちから言われました。

 親たちはものすごい上から目線です。私は三流大学なので、親たちからの信頼も低かった。下手に勉強なんか教えてくれるな、って感じでした。

 でも、今の学校はちがいます。初めて親から感謝されました。モンスターペアレンツはいません。モンスターペアレンツは裕福な家庭の多い学校ではたくさんいるけど、貧困家庭が多い学校には不思議といないんです。

 多くの貧困家庭は片親です。シングルマザーが多くて、私と同年代か下というケースもあります。子育ての相談とかされちゃうんです。スクールカウンセラーが月に一回来るんですけど、親がカウンセリング受けています。仕事にも子育てにも必死なんだと思います。

 なので前の学校では、親との関係がものすごくストレスだったけど、そういったストレスは減りました。頼りにされてるなって感じることがありますし、そういうときは本当にうれしい。先生になってよかったって、今の学校に来て初めて感じました」




月60時間を超える残業をする人の45.2%が強いストレスを感じ、無駄な会議での企業の損失は年間15億円。残業は同調圧力によって感染し、帰りにくさを感じる20代は50代の2倍近い。

立教大経営学部教授の中原淳さん(43)が2018年末、全国の企業で働く約2万人への調査を基にした「残業学」と題した本で日本の長時間労働の病巣に斬り込んだ。ネットなどで「データが示されることで、残業の実態と生み出される構造が良く分かった」と反響を呼び、増刷が続く。

働き方改革の掛け声が響く中、部下の仕事内容を把握しにくい仕組みや不適切な仕事の量など「残業の根本的な原因を放置しては本当の改革にはならない」と訴える。

専門は人材開発や組織のマネジメントだ。個人の能力を企業などの目的に沿う形で育て、集団を組織として機能させる意思疎通の方法や人の配置などを考える。

研究の原点にあるのは自分が職場で感じる「モヤモヤした悩み」だ。

大学の研究室で、多いときには約20人の部下を束ねた。限られた陣容での仕事の割り振り、部下の育成に試行錯誤を繰り返した。

部下も自分も一生懸命働いているのに、仕事に追われ続ける。自らも共働きで子育てをしながら、早朝に研究時間をひねり出した。「与えられた時間と仕事の量は適切なのか」。自分たちの努力だけでは解決しきれない課題に頭を悩ませた。

自身の経験から、組織の抱える課題は現場から見えてくると信じる。研究でヒアリングをした働く人は2千人を超えた。

「人が足りない」「無駄な会議が多い」など100人中95人の仕事の悩みは組織と人にかかわる。「組織の変革につながる研究には意義がある」との思いは強い。

就職氷河期に学生時代を過ごし、世の中に安定した職場はないと思っていた。「学びが人生を左右する」と説く大学の恩師の影響で、研究の世界へ。企業での人材教育のあり方を巡り企業人と話すうち、「無駄な残業など皆が息詰まる土壌を生む組織の改革が先決だ」と気付いた。

研究室に掲げたのれんには「そして人生はつづく」。仕事や会社が時代と共に変わろうと、そこにいる人それぞれには人生がある。一人ひとりが職場で実りある暮らしを送ることのできる社会を目指し、研究も続く。

「残業学」 データが見せた実態

「残業学」に代表される著書や研究で中原さんが重視するのはデータに基づく分析だ。残業学では「職場でなぜ残業が発生するのか」というメカニズムについて、パーソル総合研究所(東京都)と共に2017〜18年、全国の20〜59歳の正社員1万2千人を対象に実態調査を行った。

残業は「集中」「感染」「まひ」「遺伝」し、組織的に学習され、世代を超えて伝わっていく――。調査データから導き出される残業の病巣とは。いくつかのデータと中原さんたちの分析を紹介する。

残業は「感染」する




横浜市で開いた第7回アフリカ開発会議(TICAD)は30日午後、「横浜宣言」を採択して閉幕した。安倍晋三首相が提唱する「自由で開かれたインド太平洋」構想にTICADの成果文書として初めて触れ、重要性について認識を共有した。今後のアフリカ開発では民間ビジネスを重視していく姿勢も前面に出した。

インド太平洋構想はアジアとアフリカを結ぶインド洋や太平洋地域で、法の支配や航行の自由、経済連携を推し進めるものだ。首相が2016年8月にケニアで開いた前回TICADの基調演説で打ち出した。

横浜宣言では同構想に「好意的に留意する」と言及した。中国が主導する広域経済圏構想「一帯一路」を意識し、アフリカ諸国が中国に傾斜しすぎないよう促すものだ。

アフリカでのインフラ開発では中国の融資に頼り、巨額の債務を負った事例が指摘される。6月の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)でまとめた首脳宣言や「質の高いインフラ投資原則」を共通認識として歓迎することも盛り込んだ。相手国に返済が難しいほど過剰な債務を負わせないよう、透明性と持続可能性を重視する内容だ。

優先事項の一つでも海洋安全保障を挙げ、中国の海洋進出を念頭に「国際法の諸原則に基づくルールを基礎とした海洋秩序の維持」を訴えた。



経済連携では「アフリカ開発における民間部門の役割を認識」と盛り込んだ。民間ビジネスを活性化してアフリカ経済の自律性を高める狙いで、政府間が主導する中国の対アフリカ支援との違いを訴えた。首相は閉会式で「民間企業のアフリカにおけるさらなる活動を後押しするため支援を惜しまない」と強調した。

アジアでの開発で日本が取り組んだ経験がアフリカでも役立つことを確認し、日本がアフリカ諸国での人材育成を支援する「ABEイニシアチブ3.0」を評価した。日本への留学やインターンを促進し、今後6年間で3000人の産業人材の育成を目指す仕組みだ。女性起業家への支援も歓迎する考えを明記した。

アフリカ開発を巡っては中国も00年から中国アフリカ協力フォーラムを計7回開き、18年の会合では3年間で約600億ドルの拠出を表明した。

首相も28日の基調演説で今後3年間で200億ドルを上回る民間投資の実現を後押しする考えを示した。ただ投資額だけで対抗するのではなく、中国独自の取り組みとの違いも際立たせたい考えだ。横浜宣言ではTICADの基本理念として日本とアフリカだけでなく国際機関や第三国にも開かれた枠組みだと強調した。

同宣言では日本が目指す国連安全保障理事会の常任理事国の拡大を念頭に「安保理を含む国連諸組織を早急に改革する決意を再確認」することも明記した。

次回の第8回TICADは2222年にアフリカで開く。TICADは前回初めてアフリカで開いており、3年ごとに日本とアフリカで交互に開催する方向性を明確にした。

日本が1993年に立ち上げたTICADでは参加する日本やアフリカ諸国で共通する問題意識を盛り込んだ宣言を出すのが通例だ。28日に開幕した今回はアフリカ54カ国のうち過去最高の42カ国の首脳級が参加した。




公正取引委員会は29日、個人情報を巡る規制に向け、具体的に独占禁止法に違反する恐れがある4つの類型を示した。大量のデータを囲い込んで個人に不利益を与えるプラットフォーマーへの監視を強める。データの活用は今や企業の事業展開に欠かせない。企業にとってはデータを扱うルールを順守し利用者の信頼を得ることが成長の必須条件になってきた。



公取委が今回の指針案の作成で力を入れたのは、強い立場を利用して個人データを吸い上げると独占禁止法で定める優越的地位の乱用にあたると国内外のIT企業に警鐘を鳴らすことだ。

米フェイスブックや米グーグルなどが手がけるプラットフォームビジネスは一般的に、利用者が情報提供と引き換えに無料でサービスを受ける。日常生活の中に深く入り込んでいたり、データを他のサービスに移すと不便になったりするなど、事実上、利用をやめられないケースも多い。

公取委はプラットフォーマーは利用者に対して非常に強い立場にあると判断。従来は企業間に適用していた「優越的地位の乱用」を個人向けにも使えるようにする。

指針案では本人の意に反する個人情報の取得・利用を具体的にイメージしやすいよう、4つの類型を示した。個人情報を収集する際にその目的を知らせるのは当然だが、規約に明記していたとしても、文章が専門用語ばかりで難解な場合は、ルール違反にあたる可能性が高いとした。

一部の情報について利用することを伝えていても、追加の情報を要求したり、本来の利用目的でない目的で転用したりすることも規制の対象とした。通販サイトの運営会社が販売に必要な住所やクレジットカードの情報を得ることに加え、閲覧履歴の提供もサービス利用の条件にすれば違反の恐れがある。

プラットフォーマーへの規制は欧州が法整備で先行している。欧州連合(EU)はすでに2018年5月に一般データ保護規則(GDPR)の運用を始めている。これに対し日本はルール整備で出遅れた。対策としてまずは、すでにある独禁法を活用することで遅れを取り戻す考えだ。

独禁法でも公取委が違反と判断すれば改善を求める排除措置命令を出したり、課徴金の支払いを命じたりすることができる。米国は7月には司法省がグーグルなど「GAFA」を念頭に反トラスト法(日本の独禁法)で調査に乗り出した。ドイツも2月、フェイスブックの利用者からのデータ収集を「支配的地位の乱用にあたる」とした。

データビジネスの範囲は多岐にわたるため、他の関係省庁も連携して対策を進める。個人情報保護法を所管する個人情報保護委員会は29日、「必要な範囲で連携する」とコメントを出した。

企業、説明責任重く




KDDIは28日、2年契約の途中解約の違約金を1千円に引き下げると発表した。10月から違約金の上限が1千円になる新ルールが始まるのを受けた措置で、他の大手も対応を迫られている。顧客流出のリスクが高まる中、KDDIがネットフリックスと組み合わせた新プランを発表するなど、各社は他のサービスと組み合わせた付加価値の提供に顧客つなぎ留めの活路を見いだしている。

KDDIの新たな違約金は9月13日からで、大手3社で引き下げを表明するのは初めて。ほかの大手は「詳細は未定だが、総務省の定めた方針に今後対応していく」(NTTドコモ)、「金額などは検討中だ」(ソフトバンク)などとしている。10月に参入する楽天はこれまで総務省の会合で「違約金はゼロにすべきだ」と主張していた。

2年契約の途中で解約する際の違約金は現在、大手3社がいずれも9500円で横並びだが、総務省は10月1日の法改正に合わせて携帯電話料金の新ルールをまとめ、違約金の上限を1000円とした。違約金を引き下げることで、利用者が携帯会社を乗り換えやすくする狙いがある。端末と通信料金それぞれの価格競争が進むよう促す。

違約金を巡っては、現在でも乗り換え先の携帯販売店などが負担するため顧客の負担感が小さい。大手3社の毎年の解約数を契約数で割った解約率は1%未満にとどまる。一方で、新ルールの下では携帯会社を乗り換えたい消費者の心理的な抵抗感は小さくなる。

KDDIの高橋誠社長は新ルールについて「事業計画には織り込み済み。通期の業績も達成できる」と影響は限定的とみるが、大手3社にとって顧客の流動リスクがより高まるのは確実だ。通信料だけでなく、サービスで差別化して顧客をつなぎ留める方針だ。

新たなつなぎ留め策としてKDDIは28日、米動画配信大手ネットフリックスの会費を組み込んだ新料金プランを9月に始めると発表した。新プランはデータ容量が無制限で使い放題となり、月額料金は7880円。家族割引などを適用した最も安い水準で月4880円から使える。従来のネットフリックスのプランは上限が25ギガ(ギガは10億)バイト、割引を組み合わせた最安値は5150円だったが、使い勝手をよくした。次世代通信規格「5G」も見据え、データ容量を気にせず使いたい利用者の需要を取り込む。

KDDIはコンテンツ事業者の利用料を組み込むサービスがカギとみている。高橋社長は同日の記者会見で「サブスクリプション(定額課金)サービスと組み合わせると解約率はかなり下がる。エンゲージメント(顧客との関係性)を重視する」と強調した。

他社も同様に顧客の引き留め策に動く。ドコモは「dポイント」の提携先や還元額を拡大することで家族中心に顧客のつなぎ留めを狙っている。6月末時点で提携先は476ブランドと1年前から1.7倍に増えた。

ソフトバンクは月に50ギガまで使えるデータ大容量プラン「ウルトラギガモンスター+」で動画投稿サイト「ユーチューブ」やSNS(交流サイト)の「フェイスブック」などはデータ量を気にせずに使えるサービスを導入。固定通信とのセット割引も活用して顧客を囲い込む。

調査会社、MM総研(東京・港)の横田英明常務は「5G時代は携帯会社の競争軸がサービスに移る。差別化するにはキャリア独自のエコシステム(生態系)が求められる」と話す。サービスの魅力があれば、他社からの乗り換えも期待できることから、携帯会社のプランづくりの巧拙が一段と問われそうだ。



日本の大学や日本語教育機関で学ぶ外国人留学生が30万人時代を迎えた。留学生たちは日本語をどのように学び、使いこなす工夫を重ねているのだろうか。日本の大学を選んだきっかけも関心事も異なる2人の留学生に体験を聞いた。学びの姿勢は、ほかの留学生だけでなく、海外留学を志す日本人学生にも参考になるだろう。

オーストラリアからの交換留学生であるメドフォードさん(29)は、高校卒業後の6〜7年間、飲食、警察など様々な仕事を体験した。2015年に約3週間、日本を初めて旅して「穏やかで平和な国、料理も好きになった」という。

マードック大学(パース)に入学し、国際関係論と日本語を学んできた。個人で電子辞書やウェブサイトの教材も活用しながら日本語への理解を深め「留学に必要な基本的な日本語を身につけられた」と強調する。

今春、立教大学との交換留学生として来日した。1年間、日本語を学び、文化や社会を体験するなど日本を知る活動に重点を置いている。

立教大日本語教育センターによる日本語講座を受講し、さらなる上達を目指す。実力別に設けられた文法、読解、作文などの講座を数時間学びながら毎日3時間程度を予習・復習にあてている。

心がけていることは「毎日、新しい言葉を少しずつ覚え、使ってみること」だという。週末にはイベントに参加するなど、街を歩いて学びの機会を広げている。たとえば「案内表示板」「コンビニエンスストアでの店員との会話」「駅のアナウンス」などは生きた教材になるという。

少しでも言葉を使えるようになるためには「日本の友人をつくり、コミュニケーションを増やすことが大切です」と体験を語る。大学のボランティア活動やサークル活動に参加し、積極的に話す機会をつくることにも取り組んでいる。

「継続は力なり」という日本語を引用しながら、「言葉を学ぶということはまさにその通りだと思う」と語る。わからない言葉や表現を見ると学ぶ気がなくなるかもしれないが「決して諦めないこと、毎日続けることが重要だ」と強調する。

日本での留学期間を有意義に使うため、今後は日本語のシンポジウムなどを聴講して、議論の中身を知り、課題をみつけて理解する経験を積んでいきたいという。

将来は外交官を志している。高校卒業後に様々な人々とかかわり、仕事を経験したことで、国と国の橋渡し役として、貿易や安全保障などの問題に関わってみたいと考えるようになったからだ。

自らの経験を踏まえて、日本の若者にも「高校を出て、すぐに人生を決めることは難しい。自分の将来や仕事への夢、そして自分自身を知ることが大事だ」とアドバイスした。


インドネシア出身で関西学院大学国際学部3年生のスンジャヤさん(22)は、子どものころに日本の漫画やアニメーションを見て日本に関心を持つようになった。

人材の採用コストが高止まりする中、優秀な若手社員の退職に悩む企業は多い。毎年の大学生人気就職先ランキングに軒並みランクインするのが、大手総合商社。高倍率の競争をくぐり抜けて入社した新人たちは、海外経験や恵まれた待遇、高い社会的ステータスへの期待に胸を膨らませる。しかし、中には業界トップを争う企業で「期待の新人」と目されながら、3年未満で離職を選ぶ若手社員も存在する。総合商社A社を2年ほど前に退職した田代裕貴氏(仮名)もその一人だ。

田代氏は有名私立大学に通学するかたわら、自ら語学学校にも通ってフランス語を習得。その実力は確かなもので、在学中に1年間のフランス留学も経験している。留学の前後に短期間で済ませた就職活動では、留学経験や語学力、コミュニケーション能力が高く評価され、商社以外も含め有名企業から多数の内定を獲得した。

■同期の「成長株」が突然退社

田代氏は結局、「ファーストキャリアとして最も有望だと考えた」A社に入社。入社後は自動車グループに配属となり、自動車部品の輸出などに関わる業務を担当することになる。2015〜2016年頃の資源価格の下落により、A社では非資源事業の強化が急務となり、中でも自動車グループは全社の期待を背負っていた。当時、A社の若手社員は通常業務とは別に会社から研修用の課題を与えられていたが、田代氏はそうした課題でも同期の指示系統を取りまとめるなど積極的に活動。その結果、2年目には尊敬する上司の元で徐々に重要な仕事を任されつつあったという。

しかし2年目の夏、田代氏は突然、上司に退職の意思を告げる。理由は、入社時に高い評価を受けた留学経験そのものだった。

「欧州での仕事でフランス語を活かせると期待してA社に入ったが、実際に担当になったのはアジア圏。その時点でモチベーションは低下しかけていた。それ以上に、留学中にフランス人の働き方をよく見ていたので、業務や課題漬けの非効率な長時間労働が本当に必要なのか疑問だった」(田代氏)

田代氏が知る欧州の働き方は、「決まった勤務時間内で全力を出し、短い時間で高いパフォーマンスを出す」というもの。しかし、A社での新人の仕事は量ばかり膨大で、効率を上げて私生活も充実させようという発想は皆無に思えたという。

■たどり着いたのは欧州の小国

そうしてA社を退職した田代氏は、自らの望む働き方に近い企業を国内で探すどころか、日本を飛び出して欧州に渡る。各国を旅しながらインターネットを駆使して仕事を探し、結果的に欧州フランス語圏の素材メーカーB社への就職を決めた。B社は従業員数300人程度の規模ながら、自社製品で欧州市場をほぼ独占する優良企業。田代氏に任されたのは、日本企業からB社に出向した技術者の通訳だった。
「B社の労働環境は、日本での経験と雲泥の差だ」と田代氏は語る。朝8時に出社すれば午後4時半には仕事が終わるため、「かえって夕方以降に何をするか困ってしまうほどだ」(田代氏)。生産性を上げるために半年先まで仕事を計画し、インターン生なども活用して人員に余裕を持つ。その分、B社では社員一人ひとりが専門性を厳しく問われるが、希望に応じて新しい仕事のチャンスは与えられる。田代氏自身、通訳以外の仕事も考えてみるよう上司に勧められているという。

■「10年は日本に戻らない」

「思い返すと、組織力を強みとするA社には『個々人が身を粉にして組織のために働く』という価値観があった。B社では、社長自ら従業員の人生の充実を目標に掲げ、休暇の行き先まで気にする。自分の意思で自分のキャリアを築きたいので、今後10年は日本に戻らないつもりだ」(田代氏)

田代氏には、A社時代の同期からしばしば連絡が来るという。内容は「自分もA社を辞めて海外で働きたいが、どうすればいいか」といったものだ。海外駐在のチャンスが多い総合商社には、その性質上、帰国子女も多い。「彼らの中には、本当は労働環境のいい欧州などで働きたいと思っている人も多い」と田代氏は語る。

語学に長けた優秀な若手社員に対し、海外を相手に事業を広げる日本企業は大きな期待を寄せる。しかし海外転職の情報が比較的簡単に得られるようになった今、彼らの選択肢は世界中に広がっている。企業は労働環境や人材育成の面で、従来以上に厳しい目を向けられることになる。田代氏のケースが示すように、優秀人材の獲得における競争相手は、国内だけではなくなっている。

(日経ビジネス 津久井悠太)                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                社は従業員数300人程度の規模ながら、自社製品で欧州市場をほぼ独占する優良企業。田代氏に任されたのは、日本企業からB社に出向した技術者の通訳だった。

精神疾患などの患者の脳を磁気共鳴画像装置(MRI)で撮影して、病気の診断や発症リスクの見積もりに役立てる研究が進む。広島大学は機能的MRI(fMRI)の画像を人工知能(AI)に学ばせて、うつ病の患者を7割の精度で見分けることに成功した。国立精神・神経医療研究センターはパーキンソン病の前段階の患者を区別できた。早期発見や最適な治療法の探索に役立つと期待されている。

精神疾患はがんや脳卒中と並ぶ、厚生労働省が指定する5大疾病の1つだ。同省の2017年の調査によると、精神疾患と一部の認知症の国内患者は419万人。1999年の204万人の2倍以上に増えた。社会保障費の増加につながり、対策が求められている。

学会による診断基準などに沿って、問診を中心に症状の重さなどを医師が診断するのが一般的だ。精神疾患には様々な種類があるが似た症状の病気も多く、正確な診断には知識と経験がいる。だが、地方では精神科医が不足するところもあり、診断精度に限界がある。

MRIで脳を撮影し、その特徴を診断や発症リスクを見積もる手掛かりに使えば、診断精度が高まる。早くから治療できれば、症状の緩和や進行を抑えられる可能性も高まる。画像データは様々な種類がある精神疾患を正しく分類するのに役立ち、より効果的な治療法の開発にもつながる。


うつ病の患者と健康な人の画像を66人ずつ使うと、患者を7割の精度で見分けられた。「病気の可能性が高い人を見つけ、診断の補助に使える」(岡本教授)。複数の病院で精度を確かめ、診断支援ソフトウエアを開発するなどして、5年後の実用化を目指す。

国立精神・神経医療研究センターの花川隆・先進脳画像研究部長らは、パーキンソン病などの前段階にあたる「レム睡眠行動異常症」の55人の患者の脳をMRIで観察。70人の健康な人と比べて、患者で活発に働く部位を見つけた。

それをもとにすれば患者をほぼ見分けられるメドがついた。5年後にも支援ソフトを作り、将来は学会の診断基準への反映などをして普及を目指す。

ただ、患者の画像に変化が表れる仕組みは謎だ。岡本教授は「うつ病や発達障害で患者の脳画像に変化が生じる正確な仕組みは、現時点では分からない」と話す。

約10年前までは、脳の特定部位の活動だけを観察する研究が多かったが、発症や悪化との関係を十分に説明できなかった。2010年代になり、複数部位の活動の変化をみる研究が盛んになった。現在では、メカニズムの仮説をたててそれに沿って探るのではなく、脳全体の活動を観察して病気を見分ける研究が中心だ。広島大などの研究もその一つにあたる。

ただ、病気を正確に理解するには、画像に写る脳の働きの変化と、病気や症状の関係を解明することが重要だ。花川先進脳画像研究部長は「脳波計や電極を使って脳の働きを詳細に調べる研究などを進める必要がある」と話す。

ただ、こうした研究は患者や発症リスクが高い人を調べる必要がある。患者などへの説明のほか費用も膨らむため、政府などの支援が重要になるだろう。

国際的にみても、精神疾患については早期に診断し、治療や生活の支援をして進行を防ぐ取り組みが一般的で、オーストラリアや欧州で盛んだ。米国ではオバマ前大統領の時代に、政府の支援で多数の医療機関が連携した取り組みが進んだ。脳の画像などを早期診断に使う研究も世界で進んでいる。

(草塩拓郎)




























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