人工知能(AI)研究の第一人者であるカナダ・トロント大学のジェフリー・ヒントン名誉教授は日本経済新聞のインタビューに応じ、AIの未来について「最終的には人間の考えを理解できるAIが実現するだろう」と述べた。あらゆる領域に応用できる汎用型のAIが実現する可能性も示した。AIの進化には基礎研究の投資が不可欠として、日本も政府が投資を増やす必要があると訴えた。


■「自然な会話可能、人間を支えるシステムに」

ヒントン氏は人間の脳の神経細胞を模した「ニューラルネットワーク」に着目し、約40年にわたりAIを研究してきた。大量のデータを学ばせるディープラーニング(深層学習)の中核技術を開発し、3度目とされる現在のAIブームのきっかけを作った人物だ。



ジェフリー・ヒントン トロント大学名誉教授

現在のAIスピーカーやチャットボットは質問に答えるが、内容は理解していない。ヒントン氏によると、将来は「AIが相手の考えを理解して自然に会話できるようになる」といい、あらゆる目的に応用できる汎用AIが実現する可能性がある。


ただヒントン氏は、汎用AIが技術的には可能だが「人間がいるので同じような汎用ロボットは必要とされないかもしれない」とも指摘した。「グーグルなど米IT(情報技術)大手は会話しながら人間をサポートする高精度なシステムを提供したがっている」といい、物理的なロボットよりも、人間を支えるシステムとしての開発が進むと見通した。



汎用AIは複数の技術を組み合わせ実現するとみられている。ヒントン氏は足りない要素について「論理的に思考する能力だ」と指摘。今のAIは画像や音声の認識は得意だが、人間のように推論するのは難しい。「思考するAIは次の研究フロンティアの一つになる」と強調した。


ヒントン氏は「チンパンジーは音声や画像を認識するが、人間のように論理的に思考できない」と話した。人間の脳が進化の過程でこうした能力を備えたことを踏まえて、仕組みが近いニューラルネットワークがAIによる推論を実現する鍵を握ると指摘した。


ディープラーニングなどAI技術は今後もあらゆる産業に広がる見通しだ。ヒントン氏は「生産性を高めて人々の生活を改善する」と強調し、今後5〜10年にAIによる技術革新が起きる分野として「医療画像の認識や自然言語の理解、ロボット」を挙げた。


■日本に苦言「基礎研究にもっと投資を」

日本の課題にも言及した。「政府は好奇心に基づいた基礎研究にもっと投資をすべきだ」と苦言を呈した。ヒントン氏が研究拠点を置くカナダは政府が大学での基礎研究に投資し、AIが注目されなかった冬の時代にも研究を後押ししてきた。「日本の投資が十分とは思えない」と話した。


特に「大きなブレークスルーは若い研究者から生まれる」とし、「自分の直感を信じて追求してほしい」と語った。応用研究だけでなく、若者が好奇心のままに大学で新しいアイデアを発展させられるようにする必要性を強調した。


今のAI開発はグーグルなど莫大な資金をコンピューターに投じた企業がけん引する。ヒントン氏は「データ量とコンピューターの性能がAIの進化を支える潮流は今後も続く」と話す。そのうえで「新たなアイデアが研究のさらなる飛躍につながる」という。量子コンピューターが実現すれば計算能力は飛躍的に高まり、AIの可能性も広がりそうだ。


《聞き手から》貫いた信念、日本に教訓


1969年、今のAIの根幹であるニューラルネットワークの可能性を否定する本が出版された。「誰もが限界を感じました」。ヒントン氏にこう投げかけると「私以外はね」とにやりと笑った。なぜヒントン氏は信念を貫けたのか。ヒントは彼の経歴にある。


 

今でこそコンピューター科学の権威だが、学部時代にケンブリッジ大学で実験心理学を学んだ。「私は常にヒトの脳の仕組みに興味があった」。好奇心に基づいた研究の重要性を訴える言葉は説得力がある。 AIの可能性をいち早く見抜いたのがグーグルだ。2012年夏、ヒントン氏を2カ月間研究所に招き、ヒントン氏はその経験で同社の研究者と働きたいと感じた。13年に加わり、彼に憧れる研究者がグーグルに集まる循環を生んだ。


 

翻って日本。ヒントン氏より少し上の世代に世界的なAI研究者がいたが、「冬の時代」を経て米国やカナダに研究で出遅れ、応用では中国にも差をつけられた。日本はAIが注目されて初めて巻き返しに動くが、ヒントン氏は基礎研究の重要性を説き、長年の蓄積が花開いたのは事実だ。日本はAIで失敗した教訓を生かさなければならない。


(清水孝輔、小河愛実)



黒人の女性経済学者らが、自らの体験を語り合った(3日、米カリフォルニア州サンディエゴ)



米国で130年超の歴史を持ち、2万人超の経済学者や学生が会員となっている米国経済学会が、より多様性を持つ場に変わろうとしている。米国で経済学は長らく白人男性中心の分野とされてきた。1月3〜5日に米カリフォルニア州サンディエゴで開かれた米国経済学会の総会では、黒人や女性の活躍を促すための活発な議論がなされた。


「黒人女性が経済学を専攻することについて」――。ボストン大やミシガン州立大など5人の黒人の女性経済学者が集ったパネルディスカッションで、人種と性別で分けた博士課程の学位取得者のデータが示された。黒人男性はその他の人種の男性と比べて10分の1以下で、黒人女性はさらに少なかった。「掃除をする人、コーヒーを補充する人とみなされている」。自らの体験談を交え、学術界の現状と課題を話し合った。


会場には性的少数者「LGBTQ」への理解を深めるためのブースも初めて設けた。会場全体で多様性を重んじる姿勢を打ち出すに至ったのには前段がある。昨年9月、大規模な会員への調査結果を公表した。


「性や人種による差別や不公平な扱いを受けた経験はありますか」。47にわたる質問項目で、会員個人の体験を尋ねた。結果は人種や性別で明確な違いが出た。「ある」と答えた人の割合は白人男性で6%だったが、白人女性で50%、黒人女性では62%に上った。


「自分の評価に対する満足度」も、性に応じて異なった。男性は46%だった一方で、女性は25%、性的少数者は34%だった。「学会発表で、著名な学者から同性愛者という理由で無視された」という自由回答もあった。根強い偏見も浮き彫りとなった。

「経済学を取り巻く空気を変える」(経済学会会長のベン・バーナンキ元FRB議長)。コロンビア大学の伊藤隆敏教授は経済学的な観点から「社会の『偏見』を統計的に正当化する悪循環が起きている」と説明する。


具体的にはこうだ。女性や黒人の能力が低いという偏見が社会にまん延した結果、会社の幹部や教授など主要ポストに採用されず、それを見た若い女性や黒人が努力しなくなり、結果的に優秀な人の比率が下がるというサイクルだ。「女性、黒人、移民、誰であっても能力があれば偏見なく登用する」という客観的な基準を明確にすることで「長期的に偏見の悪循環を断ち切る」効果があるとみる。



開かれたホールで採用面接を実施する(3日、米カリフォルニア州サンディエゴ)


経済学会の会合は、助教や准教授など学術ポストを目指す学生にとって、様々な大学の教授陣と会える最大の就職面接の場でもある。学会は今年から、採用面接に関して女性の心情に配慮し、面接ルールを変えた。教授らが泊まるホテルの居室での採用面接を禁じたのだ。性的被害を告発する「♯MeToo」に呼応する動きだ。


「教授の服が散らかっているベッドに座って面接をしていた。不愉快だ」。米国の女性博士研究員(29)はルール変更を歓迎する。面接する側も「当然共感する。オープンな場が必要だ」(オーストラリアの大学の講師)と話す。


諸外国を比較すると、米国で経済学を専攻する女性の割合は高い。2018年は教授で14%、准教授で28%だ。博士研究員も3割に上った。経済協力開発機構(OECD)によると、日本では研究者全体でみて女性比率は17%にすぎない。米国経済学会のルール変更は、女性の活躍が増えてきたからこその動きともいえる。



(サンディエゴで、大島有美子)

日本経済新聞社が2019年秋に実施した郵送世論調査によると、70歳以上まで働くつもりだと答えた人が60歳代の54%にのぼった。18年秋に実施した前回の調査に比べて9ポイント増えた。「人生100年時代」を迎え、高齢者を中心に就労意識が大きく変わっていることが浮き彫りになった。政府も企業も、高齢者が働き続けることができる制度づくりが迫られている。


何歳まで働くつもりかを選択肢を挙げて聞いた。「75歳以上」と回答したのは全体の16%、「70〜74歳」は21%だった。この2つを合わせた「70歳以上」は37%で、前回調査より7ポイントも増えた。減ったのは「60歳代」との回答だ。「65〜69歳」は26%、「60〜64歳」は14%だったが、合計すると前回より5ポイント減った。



こうした回答の平均値を出すと67.5歳で前回より0.9歳上昇した。いまは多くの企業が定年を60歳に設定しているが、回答者が望む定年はもっと高いといえる。


定年が現実味を帯びる層ほど、高齢まで働く意向があることも分かった。回答を世代別に分析すると「70歳以上まで働くつもり」は70歳代では45%、60歳代は54%に達した。30〜50歳代は3割前後で18〜29歳は18%と、若年層ほど低かった。70歳代では「75歳以上」との回答が34%にのぼった。



「70歳以上」と回答した人を男女別でみると、女性の28%に対し男性は45%と大幅に上回った。


職業別でみると、正規の職員・従業員は28%で全体の平均の37%を下回った。高いのは自営業者の72%で、パート、アルバイト、派遣・契約社員も46%だった。年収別では300万円未満が42%と高く、800万円以上は32%となった。


調査では老後に不安を感じていると答えた人が76%だった。不安の理由を複数回答で聞くと「健康」の71%で、「生活資金など経済面」が68%と続いた。低年収の人や待遇が不安定な人を中心に、老後の生活のために働き続けたいと望む人が増えた可能性がある。


こうした世論を踏まえ、政府も具体的な対策を打ち始めた。20日に召集予定の通常国会では、70歳まで就業機会を与えるよう企業に努力義務を課す法案や、公的年金の受給開始年齢の選択肢の上限を現在の70歳から75歳に繰り下げて受給額を増やせるようにする法案を提出する。希望者が高齢でも働き続けることができる環境をつくるためだ。


それでも就労意欲の高さに比べると、雇用環境の整備は遅れている。内閣府の高齢社会白書によると、18年の世代別就業率は60〜64歳が69%、65〜69歳が47%だった。これが70〜74歳では30%、75歳以上では10%と急激に下がる。「人生100年時代」への対応は道半ばといえ、官民ともにさらに対策が迫られる。


今回の調査では職場や地域に外国人が増えることの是非も聞いている。「良い」と答えた人は3ポイント増の69%で「良くない」は3ポイント減の26%だった。「良い」と答えた人に理由を聞くと「働き手として重要」が最も多く、10ポイント増の82%だった。


外国人労働者の受け入れに関しては「積極的に受け入れるべきだ」が31%、「好ましくないが、仕方ない」が50%で、合計で容認派は8割に達した。18〜29歳は「積極的に受け入れるべきだ」が48%にのぼった。


19年4月には外国人の新たな在留資格「特定技能」ができた。人手不足が深刻な14業種で外国人の単純労働に事実上、門戸を開いた。今回の調査では外国人労働者の受け入れに支持が広がっている実態が分かった。

CESでスマートシティー構想を発表したトヨタ自動車の豊田章男社長(左)と街の設計を担当するデンマークのビャルケ・インゲルス・グループのビャルケ・インゲルス氏(右)

年始に米ラスベガス市で開催されるデジタル技術見本市「CES」。その年のトレンドを占う重要なイベントだ。ちょうど欧米でサービスが始まった次世代通信規格「5G」が主要テーマになるかと思っていたが、事前に関係者に聞いたところ「5Gの本格的な展示は2月にバルセロナ市で開催される『MWC』にとっておく」と、多くを期待できない。そんな気乗りしないラスベガス入りを一気に興奮に変えたのが、相次いで予想を超える記者会見を実施した日本企業だ。正直度肝を抜かれた。


まずトヨタ自動車は東富士に街を造る構想を発表。自動運転電気自動車(EV)「イーパレット」が街なかを走り、人が自由に移動できる。イーパレットに組み込まれたコンビニや病院が自動運転で必要な人の場所にやってくる。


豊田章男社長は2年前の2018年に同じCESの会場でイーパレットを披露した。発表後にはソフトバンクと組んでモネ・テクノロジーズを設立。数多くの自治体などと協定を結んで、次世代モビリティーサービスの実現へ検討や実証実験を進めている。


今年開催される東京五輪・パラリンピックではイーパレットの「東京2020仕様」を十数台提供し、選手村内を巡回するバスとして選手や大会関係者の移動を支援する。


ただ現状では、東京五輪・パラリンピックが終わってしまえば、イーパレットが活躍できる場所がなくなってしまう。自治体との協定があっても、イーパレットを現実の環境で走らせられる場所の確保は難しい。商用化させるには、歩行者がいて自転車が走っている道路でイーパレットを走行させる必要がある。人と共存する環境で実験し、安全性を確保してようやく商用サービスに切り替えられる。そこからプラットフォームとして広く普及させるからだ。だから「手っ取り早く誰にも邪魔されないで実証実験できる場所」が必要だったと考えられる。


自治体と組んでも、法整備や安全性などからなかなか適した場所が確保できない。「場所がないなら自分たちで作ってしまえ」と東富士にある工場跡地を「イーパレットと人が共存する街」にしてしまおうというわけだ。


■ソニーはセンサーを多数搭載したコンセプトカー

一方ソニーはコンセプトカー「ビジョンS」を発表した。ソニーがクルマを作ってしまうとはまさに驚きだった。開発を担当したAIロボティクスビジネス担当執行役員の川西泉氏によれば「企画がスタートしたのは2年前の春。20カ月程度で開発を進めた」というスピード感だ。走行は可能だが、安全基準は満たしていない。それでも今後、日米欧でナンバープレートを取得し、公道で走れるようにするという。


ソニーがコンセプトカーを作ったのは、自動車メーカーを目指すのではなく「クルマ向けのセンサーを売る」狙いがある。ソニーのスマートフォン向けカメラモジュールは絶好調だが、14年から車載向けのカメラやセンサーモジュールにも注力している。


ソニーは18年のCESで「セーフティコクーン」というビジョンを発表している。車載向けのカメラモジュールやセンサーを活用して、人の目で確認できない障害物を早期に感知、回避して安全運転につなげる試みだ。


ただその効果や可能性が既存の自動車メーカーに伝わりにくい。カメラやセンサーモジュールを搭載した結果がどれだけ安全につながるかを理解してもらうために、わかりやすく自分たちでコンセプトカーを作ってみたのではないか。


実際、ビジョンSには33個ものカメラやセンサーが搭載されている。安全だけでなく、サスペンションの動きを調整するなど、乗り心地の向上にもセンサーを役立てようとしている。


トヨタ自動車もソニーも、2年前のCESでビジョンを発表した。両社とも目指すのは「クルマの未来」だが、それは1社単独で実現できるものではない。協力者が必要だが、自社が提唱するビジョンをすべての人にきちんと理解してもらうのは難しい。そこでビジョンを誰の目にもわかりやすいように具体化してきたのが今年のCESといえるだろう。それがトヨタ自動車の「自動運転車の走る街」であり、ソニーの「センサーによって安全に走れるクルマ」というわけだ。


今回のCESでトヨタ自動車とソニーの、未来のクルマに対する本気度合いがわかった気がする。クルマの将来は、トヨタ自動車とソニーが他の企業を巻き込むことで大きく変わっていくのかもしれない。


石川温(いしかわ・つつむ)
 

月刊誌「日経TRENDY」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。ラジオNIKKEIで毎週木曜午後8時20分からの番組「スマホNo.1メディア」に出演(radiko、ポッドキャストでも配信)。NHKのEテレで「趣味どきっ! はじめてのスマホ バッチリ使いこなそう」に講師として出演。近著に「仕事の能率を上げる 最強最速のスマホ&パソコン活用術」(朝日新聞出版)がある。ニコニコチャンネルにてメルマガ(http://ch.nicovideo.jp/226)も配信。ツイッターアカウントはhttp://twitter.com/iskw226

自由・多様性、未来への礎
資本主義のどこに問題があるのか。取材班は国内外の経済学者や企業人など50人ほどに問い続けた。見えてきたのは、ゆりかごにもなってきた民主主義のきしみだ。2020年の今、資本主義の未来に向けた新たな挑戦が始まる。

危うい持続性

「私と妻を含め金持ちはもっと税金を払うべきだ」。マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツ氏は昨年末、自身のブログで訴えた。米政府は労働所得への課税に過度に依存しているとして、株式など資産課税を重くするよう提案した。


競争の勝者とされる米国の大富豪たちが「資本主義の危機」を唱え始めている。共通するのは、富める者に富が集中する今の仕組みを改めないと、持続性が危うくなるという主張だ。


資本主義のどこに問題があるのか。取材班は国内外の経済学者や企業人など50人ほどに問い続けた。


「経済はグローバル化しているのに、政治が反グローバリズムに傾いている」(小林喜光三菱ケミカルホールディングス会長)


「デジタル時代の富の分配が洗練されていない」(アルン・スンドララジャン米ニューヨーク大教授)


仕組みづくり後手

資本主義の逆境の根底を探ると、民主主義のありように行き着く。ポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭や巨大IT(情報技術)企業への情報の集中が意思決定をゆがめ、新しい仕組みづくりが後手に回る。


いち早く資本主義を開花させた英国では、個人の人権や自由をうたう「権利の章典」が17世紀末に定められ、産業革命の下地になった。岡崎哲二東大教授は自由や多様性といった「民主主義の価値観が資本主義を育んできた」と語る。


だが資本主義と民主主義は時に緊張をはらむ歴史を歩んできた。資本主義が行き過ぎれば格差を招いて平等が危うくなり、民主主義が揺らげばポピュリズムを招いて市場原理に反した保護主義を生む。私たちが目にしているのは、両者のきしみが共振する世界だ。


逃げ出す香港人

大規模な抗議活動が続く香港。医師の張清林さん(27)はこの春にも英国などへ移住するという。「恐怖のなかで生きるのか、自分の生活を楽しむために努力するかのどちらを選ぶかだ」


香港ではビザに必要な書類申請が急増する

香港警察によると、ビザ取得に必要な「無犯罪証明書」の申請件数は2019年11月に3460件と前年同月から9割増えた。


米高度人材ビザは申請却下の割合が高まっている

米国ではトランプ政権の誕生以降、世界から人材を集める力が弱まっている。国外のIT技術者らを受け入れる「H1Bビザ」の審査が厳しくなり、米シンクタンクのNFAPによると、18年10月から19年6月までに24%が拒否された。香港と米国を起点とする新たな人の流れは、民主主義の価値観が脅かされ、経済の基盤すら危うくなりかねない現実を映し出す。


社会像、AIが可視化

未来への手掛かりはどこにあるのか。大和総研が177の国と地域の経済的な自由度と1人当たり国内総生産(GDP)の関係を調べたところ、労働や貿易、投資などが自由にできるほど人々の豊かさは増す。


経済的自由度と生活水準は正の相関関係

さらに、日立製作所と京都大が開発した人工知能(AI)は、「失業率」や「豊かさ」といった149の要因から2万通りの未来図を描き、50年の持続可能な社会像を導き出した。浮かび上がったのは「利他的行動」や「道徳性」などのキーワード。アダム・スミスの時代に「見えざる手」とされた経済や社会の原動力がAIによって可視化される。


乗り越える課題は山積しているとはいえ、この先も資本主義に代わる選択肢はない。自由で多様性に富んだ資本主義の再生へ。次代に向けた模索の道が続く。

移ろう欲望 どうつかむ
資本主義の原動力である人々の「欲望」の対象が、モノから形のない共感や体験にシフトしている。モノを持たずにシンプルな生活をめざす「ミニマリスト」が若年層を中心に台頭。モノの大量生産・大量消費を前提に成長してきた従来型の資本主義経済を変え、新たな成長を生み出す。

モノを持たない

米国の経済学者、ソースティン・ヴェブレンは1899年の著書「有閑階級の理論」で、資本主義経済における消費の原動力は人々の見えや羨望にあると説いた。工業化が進みモノがあふれるようになると、高級品を見せびらかすための誇示的消費が増えるという。だがいま、若者たちはモノを持たない質素な生活を選び始めている。


「モノや家に縛られずに暮らしたい」。青く透き通る海が広がるフィリピン中部のドゥマゲテ。昨年9月に日本から移り住んだ元出版社勤務で作家、佐々木典士さん(40)の引っ越し荷物は2つのスーツケースと段ボール1つだけ。いまの主なお金の使い道は旅行だ。昨年も母親との南米旅行に約100万円を費やした。


ミレニアルがけん引

米オハイオ州に住むローズ・ラウンズベリーさん(38)の家にはほとんどモノが見当たらない。10歳の三つ子と夫の5人家族。居間にはテーブルとソファのみ。食器棚をのぞいても25枚ほどの皿と7つの鍋しかない。


仕事や育児に加えて家の片付けに追われ、おもちゃや日用品にあふれる生活に嫌気がさした。家にあった半分以上のモノを寄付。「モノから解放されて、自由を手に入れた気分」と話す。


モノの所有欲が乏しい「ミニマリスト」が台頭している。けん引役は1980年ごろから2000年にかけて生まれたミレニアル世代だ。世界で約20億人に上り、総人口の4分の1を占める。


ミニマリスト志向はミレニアル世代に目立つ

コンサルティング大手のデロイトによると、ミレニアル世代の人生の目標は「世界を旅する」が57%と最も高く、「自宅を購入する」(49%)などお金やモノへの欲求を上回った。


崩れる大量消費

資本主義経済の成長を支えた大量生産・大量消費。この図式を崩すのは意識の変化だけではない。デジタル技術の台頭でシェアリングサービスや個人間取引が容易になり、モノを持つ必要性が薄れている。


自動車ではシェアリングカーが1台増えると、乗用車販売が2台減るとされる。20年後には世界の新車販売を2000万台下押しするとの試算がある。個人間取引の影響も大きい。ニッセイ基礎研究所によると、日本の家庭に眠る不用品の総額は37兆円。市場に出回れば、新品需要が鈍りかねない。


世界のGDPに占める製造業の比率は低下

モノづくり産業の存在感も薄れていく。米国では国内総生産(GDP)に占める製造業の比率が、2017年までの20年間で5ポイント下がり11%になった。世界全体でも2ポイント低下した。


音楽ライブに100万円

デジタルを使いこなし、モノの所有欲が乏しいミレニアルが存在感を増すほど消費がしぼみ、成長は停滞するのか。


米ミニマリストの草分け、ジョシュア・ベッカー氏は「ミニマリストであっても欲望の総量は変わらない」と言い切る。モノの所有から、新たな欲望に矛先が変わったのだという。


東京都内の会員制飲食店「シックスカレー」。30代を中心に人気を集め、開店から1年あまりで会員数は1000人に膨らんだ。昨年秋に2号店を開設するなど、運営規模が拡大している。運営会社の高木新平代表は「単にカレーを売るのではなく、人と人とが交ざり合う機会を提供している」と人気の理由を語る。


1日1皿カレーを食べられる会員の平均来店頻度は月2回。月額3980円の会費は割高にもみえるが「カレーを食べに来るというより、人に会いに来ている」。会員で会社員の北岡真明さん(31)は満足げに話す。会員になると店の運営に意見したり、「1日店長」を担ったりできる。会員はカレーを媒介にした交流や体験に価値を見いだしている。


「入場無料の音楽ライブに100万円を払う人もいる」。音楽イベント「全感覚祭」を主催するマヒトゥ・ザ・ピーポーさん(30)は話す。来場者が感動や共感の度合いに応じて払いたい分を募金する。昨年の開催経費2000万円はすべて投げ銭でまかなった。


マヒトゥさんは「この空間にいくら払うか。極端に利便性が追求されているいまだからこそ、自分でちゃんと考えて払い、自分の時間をちゃんと過ごしたいという欲求が高まっている」とみる。


消費者の様々な欲望を探し出し、満たすことで発展してきた資本主義経済。欲望がモノから感情へと移りゆくいま、需要のかたちは捉えにくくなった。需要不足による長期停滞を抜け出すためにも、企業は進化を急がなければならない。

政府は国立大学や研究開発法人の出資規制を見直し、企業と共同研究する株式会社を大学外に設立できるようにする。現行の産学連携の仕組みでは大学の規則に縛られ、資金や人事面で制約を受ける。研究者に適切な報酬を支払えないといった問題が生じ、共同研究を促進するうえでの障害となっていた。規制見直しで海外と比べて出遅れている産学の協業を増やす狙いだ。



産学連携が活発な海外では大学が外部に研究組織を設けている例が少なくない。例えば米スタンフォード大学から独立した研究機関「SRIインターナショナル」は、政府機関や世界中の企業と組んで研究開発を請け負っている。日本企業ともトヨタ自動車や大林組などと共同でプロジェクトに取り組んできた。年間の収入は5億ドル(約500億円)程度で、約1700人の職員を抱える。


ベルギーのルーベンカトリック大学を中心に設置されたIMECはナノテクノロジーの研究拠点として有名だ。IMECは2019年にパナソニックと組んで、固体の電解質を使った電池の開発を発表した。


一方、日本では大学の研究者が企業と共同研究を実施することはできるが、小規模なものが多い。大学内の研究組織では、給与や人事制度など大学全体のルールを守らなくてはいけない。画期的な開発をしても適切な報酬を支払えなかったり、研究計画の承認などの事務手続きが煩雑だったりする問題があった。企業が求めるスピード感で研究開発できず、企業からは制度が硬直的だという批判も出ていた。


国立大が出資できる範囲も、現在は知的財産権を実用化する技術移転機関(TLO)やベンチャーキャピタルに限られる。このほか、指定された一部の国立大学法人はコンサルティングや研修・講習などを専門に手掛ける大学発のベンチャーに限って出資できるが、研究開発を手掛ける組織への出資は全体として認めてこなかった。


今回の規制見直しで、大学の外部に企業との共同研究のための株式会社を作れるようにする。出資にあてる財源は寄付金や特許料収入など大学の自己資金を想定する。


国立大は財政事情が厳しく、大学が設置する外部の研究組織には、企業の投資を呼び込むことを想定している。大学が研究成果の実用化に向け、企業と共同研究したり、民間企業の試作品製作などを請け負ったりする。


内閣府によると、新たに認められる外部組織では大学の研究者が大学と外部組織の両方と雇用契約を結ぶ「クロスアポイントメント」で働くことが見込まれる。大学の設備は外部組織が大学に施設利用料を払えば、レンタルできる。研究開発以外のマネジメントに関わる職員は専従とし、知財関連のノウハウを内部で蓄積できるように工夫することを促す。


内閣府が内閣法制局などと必要な法令改正を調整しており、20年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。

政府はこれまでも産学連携活性化のため、国立大のTLOへの出資容認などを進めてきた。しかし海外と比べ、産学の協業は見劣りしているのが実情だ。


政府は25年度までに企業から大学や国立の研究開発法人に対する投資を14年度の3倍にするという目標を掲げているが、17年度は約1.2倍と低調な伸びにとどまっている。内閣府によると、大学の研究費の企業負担割合はドイツや韓国が1割超なのに対し、日本は2%程度と低迷が続く。先端技術を巡る国際競争が一段と激しくなるなかで、産学の連携を阻んでいる規制の見直しが急務となっている。


米グーグルはCESの会場で音声AIの機能強化について説明した(7日、米ラスベガス)

【ラスベガス=奥平和行】米グーグルが人工知能(AI)を活用した音声関連サービスを拡充する。記事などの長い文章を自然に読み上げ、翻訳する機能の開発などが柱となる。スピーカーや家電製品などを通じた音声AIの利用が増え、競争も激化している。スマートフォンなどで多くの利用者を抱える強みを生かし、機能強化を急ぐ。


世界最大のデジタル技術見本市「CES」が米ラスベガスで7日に開幕したのにあわせて説明会を開き、音声AI「グーグルアシスタント」などの機能拡充について説明した。グーグルは2018年からCESに大規模な展示スペースを設け、音声AIの利用を促す場として活用している。


新たな読み上げ機能は、記事やブログといった長文を人に近い調子で音読するのが特徴だ。同社の携帯端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した製品を通じて「このページを読んで」などと指示すると音読を始め、日本語を含む42の言語に翻訳する機能も備えた。提供を始める時期は明らかにしていない。


音声AIではディスプレーを内蔵したスピーカーを活用してリアルタイムで翻訳する機能も提供先を広げる。米ニューヨークのケネディ国際空港やアメリカン航空のラウンジなどで提供を始め、世界各地の空港やホテル、小売店など使えるようにする計画だ。


全米民生技術協会(CTA)によると、AIスピーカーがいち早く普及した米国では20年に出荷台数が前年比5%増の3900万台に達する見通しだ。世界全体では25年まで年平均30%を上回るペースで市場が拡大するとの予測もある。テレビや自動車など音声で操作できる機器も含めるとさらに利用者の裾野は広がる見通しだ。


一方、プライバシー侵害への懸念も高まっており、グーグルの製品管理担当ディレクター、オースティン・チャン氏は7日、「利用者が自分のデータがどう利用されているかを理解することが重要になっている」と説明した。


説明会では同社の製品は利用者の会話を無断で記録しないと強調した。さらに機能向上などのためにグーグルがデータを保存することに同意した場合も、「これはあなたのものではない」などと話しかけることにより直前の発言を削除したり、音声でプライバシー設定を確認したりできる新機能を紹介した。


2119年には同社の音声AIの対応機器が10億台に達したことを公表したが、今回は月間利用者が5億人を突破したと説明した。米アマゾン・ドット・コムや米マイクロソフトなどとの間で音声AIを巡る競争が激しくなるなか、実際に日々の生活のなかで使われていることを示す狙いがありそうだ。


スピーカーやヘッドホンなどに加えてテレビへの搭載も増やしたい意向で、テレビの電源が入っていないときでも音声で起動できる機能を加えると発表した。まず中国の海信集団(ハイセンス)とTCL集団が米国で販売するテレビが新機能への対応を始める。グーグルは提供先をほかのメーカーにも広げていく方針だ。

グローバル化がもたらす痛みが、「保護主義の亡霊」をよみがえらせようとしている。成長の源となる自由貿易の基盤を固め直せるのか。資本主義が力を取り戻せるかどうかがかかった重い課題だ。
廃れる鉄鋼の街

2016年6月の熱狂をこの街のひとたちは時々思い出す。「政治家が過度のグローバル化を進め、富や雇用が海外に行ってしまった」。大統領選をにらんだトランプ氏が訪れて演説集会でこう述べ、鋼材への関税引き上げを約束した。ここは「ラストベルト(さびた工業地帯)」の一部、米北東部ペンシルベニア州モネッセン。1970年代までは鉄鋼で栄えていた。

18年に関税は引き上げられたのに、「状況は変わらないどころか、悪くなるばかり。店は閉まり、若者は街を出ていく」。地元の図書館員、デニス・フォードさんはあきらめ顔で話す。街に残るのはコークス工場1つだけ。街道沿いには誰も住まなくなった荒れ果てた家が並ぶ。


高関税で米国内の鉄鋼価格は一時的に大きく上昇した。だが、米中摩擦が重荷となり、19年の世界の貿易量は前年比1.2%増と10年ぶりの低い伸びになったと世界貿易機関(WTO)はみる。これが響いて世界の景気は低迷し、鉄鋼需要は急速に冷え込んだ。鉄鋼価格は足元で関税引き上げ前さえ下回り、モネッセンの苦境は深刻になった。


貿易、経済を効率化

経済のグローバル化が進み、敵視されることも増えた自由貿易。だが、国境をまたいだ競争を促し、成長を後押しする資本主義の大きな柱だ。冷戦が終結した90年以降、毎年の世界の貿易量と国内総生産(GDP)の伸びの方向性が一致する割合は約9割に達する。


世界の貿易量と成長率は連動性が高い

世界全体でみれば輸出入は相殺し合い、GDPの計算には影響しない。それでも貿易の伸びと成長に強い関係があるのは、「それぞれの国が得意な産業に特化し、足りないものは輸入すれば経済は効率的になる」からだ。約200年前、英経済学者リカードが説いた「比較優位」論。その重みはいまも変わらない。


とはいえ、自由貿易の恩恵はまんべんなく行き渡るわけではない。追われる側の先進国は痛みを感じ、保護主義に傾斜してしまう。


劇薬のドル管理

「より積極的にドル相場を管理していく」。米大統領選で民主党の候補を狙うエリザベス・ウォーレン上院議員は、「経済的愛国主義のためのプラン」と題した自身の政策を説明する文書でこう宣言した。狙いは輸出と国内製造業の後押し。「管理」とはドル売り介入を意味する。基軸通貨の押し下げは世界を揺るがしかねない劇薬だ。中国との貿易交渉を進める姿勢を見せているトランプ氏も、大統領選で有利になるとみれば「新たな貿易戦争カード」を切る恐れがある。


開かれたシステム、糧に

保護主義の先には不幸な結末しかないと歴史が証明している。1929年の世界恐慌の後、自国産業の保護を狙った関税引き上げが横行。世界的な貿易の減少で恐慌が深刻になり、ついには世界大戦が起こった。


開かれた貿易システムを成長の糧とする動きもとぎれてはいない。米国が離脱しても環太平洋経済連携協定(TPP)は11カ国でスタートし、日欧の経済連携協定(EPA)も発効した。


米国を引き戻し、自由貿易の基盤を固め直せるだろうか。資本主義が力を取り戻すためには、この難しい課題を避けては通れない。

その利益に大義はあるか

資本主義を生きる多くの企業が信じてきた「ROE(株主資本利益率)神話」が揺らいでいる。地球温暖化や格差拡大などの問題が深刻になり、利益だけを追い求める経営が立ち行かなくなってきたためだ。環境、従業員、地域社会、そして株主――。さまざまな課題・責任のはざまで最適解を探り当てる経営が求められている。


「株主至上」暴走

「目標としていた3億ドル(約330億円)を上回るコスト削減を達成しました」。設備の老朽化から大規模な山火事と大停電を繰り返した米カリフォルニア州の電力・ガス大手、PG&E。それなのに、2017年の年次報告書には誇らしげにこう書いてあった。


コスト削減の効果でROE(株主資本利益率)は17年に一時10%を超えた。だが、地球温暖化で森林地帯の乾燥が進むなか、電線の更新など安全維持に必要な投資を怠ったツケは巨額の損失となって跳ね返った。同社は損害賠償などで300億ドル超の債務を抱える可能性があるとして経営破綻し、再建途上にある。


「ROE神話」の暴走が根底にある。「株主のための利益追求」が資本主義における企業の責務だと米経済学者ミルトン・フリードマンは1962年の著書「資本主義と自由」で主張した。この考えが米国などで広がり、株主のためにいかに稼いだかを示すROEが重視されるようになった。


「公益重視」3000社超

ROEを高めるには研究開発や設備投資によって利益を増やしていくのが王道。だが、経営者はROEが下がれば株主からの退任圧力にさらされかねない。資金を自社株買いに回し、資本を減らしてROEを力ずくで押し上げるという危うい選択に走りがちだ。そうなれば、将来の成長や安全、環境保護への投資は後回しになり、従業員への還元もおろそかになる。


「ひずんだ株主至上主義」の修正はすでに始まっている。米経営者団体、ビジネス・ラウンドテーブルは株主第一経営を修正すると宣言した。環境や従業員、地域社会など公益の重視を打ち出す「Bコープ」という新しい企業も台頭している。「株主最優先の経営ではない」とまで示すことを条件に、米非営利団体のBラボが認定する。ブランド力などで有利になるといい、アウトドア用品の米パタゴニアや仏食品大手ダノンの北米法人など3000社を超えた。


気候変動 コスト1兆ドル

ただ、環境などを含めた新たな社会的責任は重く、個々の企業にまかせきりにするのはこころもとない。競争上不利になるほど大胆な策は打てないし、将来のリスクをどう判定すればいいかも定まらない。ひとつの解は会計基準を進化させることかもしれない。


経済成長とともにCO2の排出増が止まらない

環境評価NPO、CDPの調査によると、世界の大手企業が気候変動に絡んで想定するコストは約1兆ドルにのぼる。こうした会計上は「見えない負担」が膨らんでいることに対応し、独化学大手BASFなど10社は環境や社会に与える影響を示す新たな会計基準を3年かけて作り出す方針だ。


会計ルールから進化

これが成功すれば経営者は将来に向けて必要な投資を判断でき、投資家の納得も得やすくなる。会計という企業のルールが変わるなら、競争の土俵も社会責任を織り込んだ新しい形に進化していくだろう。


利益を稼ぐのが企業の使命だ。そこが揺らげば環境保護への投資や従業員への還元といった社会的責任も果たせなくなる。問われるのは利益がそうした「大義」にかなっているかどうか。ROEを超え、新たな公式を探す時がきている。


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