2025年には労働力人口の約6割が45歳以上になる。バブル期の大量採用などで中高年社員の層は厚く、50歳を過ぎて管理職になれない人材がこれまで以上に出てきている。日清食品は再チャレンジの機会を設け、太陽生命保険は役職定年を廃止するなど企業は社員にやる気を持たせる手を尽くす。中高年は企業が必要とする人材への再生が求められる。生産性向上に向けた企業と中高年社員双方の挑戦をデジタル化が加速する。



日本では役職定年制度を設けている企業が多く、経団連の調査では約半数が導入している。50歳代に役職を解かれると給与が大幅に下がり、仕事に対するモチベーションが低下しやすい。定年後研究所(東京・港)とニッセイ基礎研究所による共同研究の試算では、50歳代が役職定年でやる気を失うために生じる経済的な損失は、年に約1兆5000億円にのぼる。中高年の活性化は日本経済の浮沈を左右する課題だ。

54歳で営業所長

「会社にまた認めてもらえた。期待に応えたい」。日清食品に勤める54歳(当時)のAさんは同社が今年導入した「リバイバル」制度を活用し、営業所の所長に登用された。年収は200万円アップし、1000万円を超えた。

同社では50歳になると管理職への昇格停止と公募ポストへの挑戦権を失う。若手のチャンスは広がるが「管理職になれなかった社員は給料もモチベーションも低下する」(人事部)。新制度では営業部門の50歳以上の社員を対象にキャリアの棚卸しをし、自らの能力と目標をはっきりさせる講義や役員面接を用意したところ、5人中2人が新たな職場を得た。今後は対象部門を広げていく。



オリックスでは昨年、45歳以上の部長層以下を対象に別部門への異動に挑戦できるフリーエージェント(FA)制度を始めた。33人が手を挙げ、11人がヘルスケア事業部の中国向け事業などで活躍している。

労働力の6割に

太陽生命保険は定年を60歳から65歳に延長したのを機に、57歳だった役職定年も廃した。やる気や能力のある社員を年齢では区切らないという考えも出てきている。


社内の中高年は急増している。終身雇用の宿命だが、バブル期の大量採用によっていびつさが増している。みずほ総合研究所は、労働力人口における45歳以上の割合は15年にすでに5割を超え、25年には6割に迫ると試算している。

新卒で一括採用し、社内で人材を育成する終身雇用や年功序列という日本型の雇用制度の弊害が大量の「ヒラ中高年」を生んでいる。一方で若手の採用は厳しさを増している。リクルートキャリアによると、20年卒の採用では「採用できる人数が減る」企業は「増える」を上回り、20%に上った。急進するデジタル化のなか、企業が渇望するのはITや人工知能(AI)人材だ。

若手はとれず、中高年は社内に滞留する。終身雇用の弊害を逆手に取り、中高年をIT人材に活用するくらいの挑戦が不可欠だ。

経済協力開発機構(OECD)は、大学入学者のうち25歳以上の比率が日本は2%とOECD平均の約2割を大きく下回っていると指摘した。一方、日本総合研究所は就業中の65歳以上のシニア社員は学び直しで、年間約80万円の収入増につながると試算する。中高年への教育投資は生産性を向上させる一つの解といえる。

東北大学大学院は三菱ふそうトラック・バスと組み、企業が求める人材に必要な教育プログラムの開発を目指す。終身雇用に甘え、自らの能力水準を把握していない中高年は多い。

日本総研の安井洋輔主任研究員は、学び直しで培ってきた専門スキルに新たな能力を加えれば「社内の再配置や他社への転職など人材の流動性が高まりジョブ型に近い雇用が可能になる」と指摘する。

キャリア研修事業のライフワークス(東京・港)の梅本郁子社長は「ボリュームの多い中高年層の活躍は企業の生き残りや成長につながる」と話す。中高年になっても常に学び直し、新たなスキルを取り込む。企業も「今更無理だ」と決めつけず、中高年を支援する――。生産性を高めるためのそれぞれの挑戦は始まったばかりだ。

(京塚環氏、藤本秀文氏)


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