モノやサービスなど日本の価格の安さが鮮明になってきた。世界6都市で展開するディズニーランドの入場券は日本が最安値で米カリフォルニア州の約半額。100円均一ショップ「ダイソー」のバンコクでの店頭価格は円換算で200円を超す。割安感は訪日客を増やしたが、根底には世界と比べて伸び悩む賃金が物価の低迷を招く負の循環がある。安いニッポンは少しずつ貧しくなっている日本の現実も映す。

「日本製の家電や化粧品は安くてお買い得」。中国から銀座を訪れた李さんは話す。18年の訪日外国人の旅行消費額は4兆5189億円で、13年比で3倍に増えた。

■カリフォルニアの半額
海外から見た日本のモノやサービスの割安さが際立っている。



日本経済新聞は世界のディズニーランドの大人1日券(当日券、1パークのみ、10月31日時点)の円換算価格を調べた。東京は7500円でカリフォルニア(1万3934円)の半額ほど。パリ(1万1365円)や上海(8824円)と比べても安さは群を抜く。

ディズニーランドは各拠点で運営主体が異なる。東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドは「定期的に入場客から価格感度を調査している」という。日本の実情に沿い「パークの価値に合わせた価格にしている」との説明だ。

同じ現象はディズニーランド以外でも顕著だ。

■100円ショップ、タイなら214円
海外26カ国・地域でダイソーを展開する大創産業(広島県東広島市)。日本では「100円ショップ」として知られるが、同じ商品が米国では約162円、ブラジルでは215円、タイでは214円だ。中国で生産した商品も多いが、その中国でも153円する。

タイのダイソーで売られる商品の価格は円換算で日本の倍

ホテルも安い。12月13日から1泊大人2人でロンドンの五つ星ホテルを予約しようとすると、キングベッド1つの50平方メートルの部屋で約17万円だった。東京だと同じ条件でも、約7万円超で泊まることができる。

■「アマゾンプライム」も米の半値以下
生活に身近になったサービスのサブスクリプション(定額課金)でも同様の傾向が見られる。米ネット通販最大手のアマゾン・ドット・コムは、動画や音楽配信、配送料などが無料になる有料「プライム会員」の年会費を米国で約1万2900円で提供。日本は今年4月に3900円から4900円に値上げしたが、それでも大幅に安い。

■円安だけでは説明付かず
こうした価格差は日本の為替レートが低く評価されすぎていることが理由の一つにあるとされてきた。

例えばハンバーガー価格の違いから為替水準を探る英エコノミスト誌の「ビッグマック指数」。7月時点の計算によると、日本で390円のビッグマックは米国では5.74ドル。同じモノの価格は世界中どこでも同じと仮定すると、ここからはじき出す為替レートは1ドル=67.94円となる。

ただ、実際のレートは1ドル=110円前後で30%強円安だ。その分円を持つ人にとってはドルで売られるビッグマックが高く感じられる。


ディズニーランドやダイソーの価格も同様に指数化して実際のレートと比べると対米ドルやタイバーツで46〜50%強の円安となり割高感が増す。

■賃金停滞が物価も引き下げ
だが第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「今の価格差は為替では説明がつかない状況にある」と話す。足元では企業の賃上げが鈍り、働く人の消費意欲が高まらない。その結果、物価低迷が続き景気も盛り上がらない「負の循環」(同)が日本の購買力を落ち込ませているからだ。

経済協力開発機構(OECD)などによると、1997年の実質賃金を100とすると、2018年の日本は90.1と減少が続く。海外は米国が116、英国は127.2など増加傾向にある。

■世界の成長に追いつけず



大企業は賃金増には慎重だ。トヨタ自動車は19年の春季労使交渉で一律賃上げの見直しを決めた。製造業は米中貿易戦争などで業績が悪化傾向にあり、20年交渉も「一律賃上げは難しい」(電機大手)との声が漏れる。

一方、タイでは上昇する賃金や店舗賃料分がダイソー製品の価格に転嫁されている。それでも購買力も高まっている同国中間層の負担感は少ない。安いニッポンには、世界の成長についていけない日本の停滞もにじむ

リクルートキャリアが就活生の内定辞退率などを推定し、40社弱に売っていた「リクナビ問題」。新たな問題の指摘もあり、データ活用に二の足を踏む企業が今も少なくない。この問題をどう考えるべきか。データの専門家が集うデータサイエンティスト協会の草野隆史代表理事が重い口を開いた。

――リクナビ問題について、どう捉えているか。

草野隆史氏(以下、草野氏) 個人的な見解になるが、今回の件が業界に及ぼすインパクトは、2013年に起きたJR東日本によるSuicaの利用履歴データを外部提供した一件以上に大きいのではないか。リクナビの件の発覚後、利用者から同意を得る手続きが妥当だったかなどが議論されていたが、問題の本質はそこではない。パーソナルデータを扱う事業者の倫理観や知識、それが問われている。これがリクナビの件とJR東日本の件との、大きな違いだ。

――1社でのデータ活用の段階から進み、例えばセブン&アイ・ホールディングスの「セブン&アイ・データラボ」のように、複数企業が匿名加工データを活用する枠組みができつつあった。だがリクナビ問題が発生し、さらに新たな問題が指摘されたりして、3カ月たった今でも、皆、「物言えば唇寒し」だ。

草野氏 確かに事業会社は事件の影響を受けて、データの利活用を進めるモチベーション維持が難しくなっているようだ。データ活用には、消費者などの理解を得ることが不可欠だが、まだそうした環境にない。

――協会は本件の当事者ではないが、(リクナビを運営している)リクルートキャリアは協会の賛助会員だ。協会内部で議論したりしているのか。

草野氏 公式な議論はしていない。協会のミッションは、一義的にはデータサイエンティストという新しい職種の健全な発展を促すことだ。そして二義的にデータ活用の促進がある。(協会内部で)この件について議論をする場を設けたい気持ちはあるが、もう少し事態が落ち着いてからでなければ、実際には難しい。冷静な議論が必要だからだ。

ただ20年には再び個人情報保護法の改正が予定されている。15年の改正よりも、「後退した」内容になる揺り戻しの可能性を懸念している。

■結果をねじ曲げた報告でも、信じるしかない

――データサイエンティストの倫理観が問われているというが、そもそも、あるべき姿や倫理規程のようなものを定めているのか。

草野氏 今はないが、個人的には(倫理規定の整備などが)必要だと考えている。ビッグデータは、専門知識を持った人間が処理をしないと、データの意味や内容を(一般の人は)理解できない。万が一、データサイエンティストが分析結果をねじ曲げて報告しても、(分析の)依頼者はその報告を信じるしかない。

逆に、依頼者が想定しているような分析結果が出なくても、データサイエンティストはそれを率直に、ありのままに説明する責任がある。こうした意味で高い倫理観が求められる仕事だ。

――実際のところ、どれだけのデータサイエンティストが、そうした(高い倫理観が必要だという)意識を持っているのか。

草野氏 私はデータサイエンティストであれば当然全員が(高い倫理観を)持っている、それが必要なことを理解していると思っていた。だが今回の件を受けて、必ずしも、そうとは言い切れないと思うようになった。データサイエンティストが持つべき倫理観とはどのようなものか。いろいろな人と、改めて議論をする必要があると思っている。

――データの利活用に逆風が吹く一方で、信用スコアや情報銀行など、パーソナルデータを利活用する新しいビジネスが登場している。どう見ているか。

草野氏 各事業者には、消費者の利益を重視するスタンスを明確にして、事業を進めてほしい。例えば、信用スコアは中国が日本よりも先行し普及しているが、これは世間が考えているように、中国が管理社会だから、だけではない。信用スコアが中国の消費者にとって便利な仕組みだからだ。日本でも消費者の利益、利便性を明確にすれば、こうした新しい仕組みも普及するだろう。

――逆風が吹いているとはいえ、データ利活用を前提にした企業変革、いわゆるデジタル・トランスフォーメーション(DX)への関心は高い。データサイエンティストの求人数もうなぎ登りに増えているようだ。

草野氏 データサイエンティストを採用するだけで、ビジネスが変わると考えているなら、それは誤解だ。分析可能なデータがあって、分析した結果、何らかの知見が出てきたとしても、それを行動、アクションにつなげなければ意味がない。組織にデータ分析の結果を生かす文化がなければ、データサイエンティストを採用しても、活躍はできないだろう。はやりのキーワードをつまみぐいしても意味はない。日本の経営者が本当に自社を変革したいなら、ビジネスとIT(情報技術)について、自らが深く理解することが必要だ。

――ところで、社長を務めるブレインパッドでは、この件に関連して何か議論をしたのか。

草野氏 ブレインパッドが提供するプライベートデータマネージメントプラットフォーム(DMP)「Rtoaster(アールトースター)」で取得、利用するデータは、顧客企業のユーザーのサイト行動を委託されて集めているもので、個人情報の第三者提供などには該当しない。ただ、ブラウザーのCookie(クッキー)経由でウェブサイトやモバイルアプリにアクセスした個人の行動トラッキングデータを当社のサーバに預かって、顧客の指示に基づいて、それを分析したり、他のデータと連携させたりすることはある。

だからリクナビの件を受けて、改めてこうした作業の手続きや内容に問題がないか。もし顧客から倫理的に問題がある指示をされた時に、ノーと言うことができるか。ノーと言うために十分な知識を持ち説明ができるのか。それを確認する必要があると、社員に伝えた。

ブレインパッドは顧客からデータを預かるが、多くの場合、個人情報は含まれておらず、その活用も顧客の社内に閉じるケースがほとんどだ。リクナビのように、預かったデータを加工して第三者に提供することはない。ただ、極端な場合には、サンプル数が1件だけの(=個人を特定できるような)データも見られてしまうのが、データサイエンティストの仕事。

最新の法制度を理解するのは当然だが、それ以上に、我々の倫理観が問われるケースがある。データを詳細に深く理解できるデータサイエンティストと一般的な知識しか持たない経営者などには、情報の非対称性がある。それを認識したうえで、データサイエンティストは高い倫理観と十分な知識を持って、データ活用に携わる必要があるだろう。

2025年には労働力人口の約6割が45歳以上になる。バブル期の大量採用などで中高年社員の層は厚く、50歳を過ぎて管理職になれない人材がこれまで以上に出てきている。日清食品は再チャレンジの機会を設け、太陽生命保険は役職定年を廃止するなど企業は社員にやる気を持たせる手を尽くす。中高年は企業が必要とする人材への再生が求められる。生産性向上に向けた企業と中高年社員双方の挑戦をデジタル化が加速する。



日本では役職定年制度を設けている企業が多く、経団連の調査では約半数が導入している。50歳代に役職を解かれると給与が大幅に下がり、仕事に対するモチベーションが低下しやすい。定年後研究所(東京・港)とニッセイ基礎研究所による共同研究の試算では、50歳代が役職定年でやる気を失うために生じる経済的な損失は、年に約1兆5000億円にのぼる。中高年の活性化は日本経済の浮沈を左右する課題だ。

54歳で営業所長

「会社にまた認めてもらえた。期待に応えたい」。日清食品に勤める54歳(当時)のAさんは同社が今年導入した「リバイバル」制度を活用し、営業所の所長に登用された。年収は200万円アップし、1000万円を超えた。

同社では50歳になると管理職への昇格停止と公募ポストへの挑戦権を失う。若手のチャンスは広がるが「管理職になれなかった社員は給料もモチベーションも低下する」(人事部)。新制度では営業部門の50歳以上の社員を対象にキャリアの棚卸しをし、自らの能力と目標をはっきりさせる講義や役員面接を用意したところ、5人中2人が新たな職場を得た。今後は対象部門を広げていく。



オリックスでは昨年、45歳以上の部長層以下を対象に別部門への異動に挑戦できるフリーエージェント(FA)制度を始めた。33人が手を挙げ、11人がヘルスケア事業部の中国向け事業などで活躍している。

労働力の6割に

太陽生命保険は定年を60歳から65歳に延長したのを機に、57歳だった役職定年も廃した。やる気や能力のある社員を年齢では区切らないという考えも出てきている。


社内の中高年は急増している。終身雇用の宿命だが、バブル期の大量採用によっていびつさが増している。みずほ総合研究所は、労働力人口における45歳以上の割合は15年にすでに5割を超え、25年には6割に迫ると試算している。

新卒で一括採用し、社内で人材を育成する終身雇用や年功序列という日本型の雇用制度の弊害が大量の「ヒラ中高年」を生んでいる。一方で若手の採用は厳しさを増している。リクルートキャリアによると、20年卒の採用では「採用できる人数が減る」企業は「増える」を上回り、20%に上った。急進するデジタル化のなか、企業が渇望するのはITや人工知能(AI)人材だ。

若手はとれず、中高年は社内に滞留する。終身雇用の弊害を逆手に取り、中高年をIT人材に活用するくらいの挑戦が不可欠だ。

経済協力開発機構(OECD)は、大学入学者のうち25歳以上の比率が日本は2%とOECD平均の約2割を大きく下回っていると指摘した。一方、日本総合研究所は就業中の65歳以上のシニア社員は学び直しで、年間約80万円の収入増につながると試算する。中高年への教育投資は生産性を向上させる一つの解といえる。

東北大学大学院は三菱ふそうトラック・バスと組み、企業が求める人材に必要な教育プログラムの開発を目指す。終身雇用に甘え、自らの能力水準を把握していない中高年は多い。

日本総研の安井洋輔主任研究員は、学び直しで培ってきた専門スキルに新たな能力を加えれば「社内の再配置や他社への転職など人材の流動性が高まりジョブ型に近い雇用が可能になる」と指摘する。

キャリア研修事業のライフワークス(東京・港)の梅本郁子社長は「ボリュームの多い中高年層の活躍は企業の生き残りや成長につながる」と話す。中高年になっても常に学び直し、新たなスキルを取り込む。企業も「今更無理だ」と決めつけず、中高年を支援する――。生産性を高めるためのそれぞれの挑戦は始まったばかりだ。

(京塚環氏、藤本秀文氏)



政府・与党は株や投資信託の運用益を非課税にする少額投資非課税制度(NISA)を2024年に刷新する。中長期の運用に適した低リスクの商品に優先して投資される仕組みにして、個人に資産形成を促す。20年度税制改正の議論では大企業がスタートアップ企業に投資する際の減税措置も固まった。個人と企業の資金を動かし、日本経済の活性化につなげる。



現在のNISAは年120万円を投資限度額として、配当や分配金、譲渡益などの運用益にかかる約20%の税が5年間、非課税になる制度だ。23年末に投資期限を迎える。

政府・与党は投資期限を28年まで5年延長した上で、新たな制度に移行させる。与党の税制調査会での議論を踏まえて、12月中旬に決める20年度の税制改正大綱に盛り込む。

新たなNISAはリスクの低い投資信託などに対象を限定した積立枠(1階)と、従来通り上場株式などにも投資できる枠(2階)の仕組みに改める。原則としてリスクの低い商品に投資した人だけが、2階部分にも投資できるようにする。安定資産による長期的な運用を重視する。運用益の非課税期間はどちらも5年とする。

年間の投資限度額は1階が20万円、2階が102万円、総額122万円とする方向で調整している。全体で5年にわたり最大610万円を非課税で運用できる。

投資対象の商品は、金融庁と証券業界が調整を進めている。新制度の1階は現行の「つみたてNISA」とほぼ同じになる。2階については、リスクが高すぎて資産形成に向いていないものを除外する方向で調整している。

NISAは個人の資産運用を貯蓄から投資に振り向けることを目的に設けられた。現在、1100万超の口座がある。だが株式などの短期売買に使われることも多いとの指摘から、税優遇への批判がある。

低リスクの投資信託などに投資対象を限定し、年間40万円を上限に運用益が20年間非課税のつみたてNISAも見直す。37年までの投資期限を42年まで5年延長する。23年までに始めれば、20年間は積み立てられるようになる。

24年以降の利用者は新NISAか、つみたてNISAのいずれかを選ぶ。一方、未成年を対象にした「ジュニアNISA」は23年までの投資期限を延長せずに終了する。口座数は30万台で頭打ちになっている。

政府・与党は17年度の税制改正大綱のなかで、複数制度があるNISAは、将来的に「少額からの積立・分散投資に適した制度への一本化を検討する」としていた。新制度もこの方針を踏まえ、現行制度より積み立てを重視したものになる。政府・与党は今後も、資産形成に最適な制度を模索する。

積み立て投資 正しく理解しよう 複利効果が魅力 リスクも忘れずに

投資にリスクはつきものだ。長期投資に有効な積み立て投資にもリスクはある。実際のリターンはリスクによってブレが大きくなり、商品によってコストも異なる。老後資産問題に関心が集まる中、積み立て投資で注意すべきリスクやコストを正しく理解しよう。

■運用効率、「シャープレシオ」で比較

「あなたの家計は、長生きできる?」――。11月17日、こんなテーマのイベントに1700人が詰めかけた。マネーフォワード(3994)が都内のホテルで開いた「お金のEXPO2019」だ。多くの人が資産寿命を延ばそうとセミナー会場や金融機関などのブースに足を運んだ。

マネーフォワードの「お金のEXPO2019」には1700人が来場し、積立投資のセミナーなどに参加した(2019年11月17日、東京都港区)
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マネーフォワードの「お金のEXPO2019」には1700人が来場し、積立投資のセミナーなどに参加した(2019年11月17日、東京都港区)

「自分の感情を排除しながら資産形成ができる」。3年前に積み立て投資を始めた宇野健一さん(仮名、36)はそのメリットをこう話す。投資歴は10年に及ぶが、途中から積み立て投資を中心とした投資スタイルに変えた。毎月約5万円を三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」やバンガード・インベストメンツ・ジャパンの「バンガード・S&P500 ETF」に投じる。

積み立て投資は老後の資産形成にとって大きな武器になる。毎月決まった金額を投資して運用するため、老後までの期間のメリットを生かせば複利効果でリターンも大きくなる。例えば日経平均株価の過去5年間の利回りは年6.9%だが、20年間、毎月1万円ずつ積み立てたとすると最終的には514万6474円になる計算だ。宇野さんの投資利回りは現在、年約10%。この利回りが続けば、毎月5万円の積み立てで20年後に約3800万円まで資産が増える。

ただ実際にはこうした高いリターンは得られない可能性もある。利回りが高ければその分リスクも大きくなりがちだ。リターンのブレの範囲を示すのが「標準偏差」だ。標準偏差が10%の場合、利回りには±10%のブレが生じる。その確率は約68%だ。利回りが5%なら実際はマイナス5〜プラス15%の範囲の利回りになる可能性が高い。

そこで注目したいのが投資の効率性を示す「シャープレシオ」だ。数値が高いほどこれまでに小さいリスクで大きなリターンを得たことがわかる。

10月末時点で過去3年間の運用成績を見た場合、最もシャープレシオが高い国内株型のファンドは、東京海上アセットマネジメントの「東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン」だった。オーナー企業に投資する好成績ファンドとして知られる同ファンドのシャープレシオは、1.88と群を抜く。
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▼シャープレシオ リスクに対してどれだけ効率的にリターンを稼いでいるかを示す指標。ファンドごとの運用効率を簡単に比較でき、数値が高いほど運用効率が高い。ファンドの一定期間のリターンから国債などの無リスク資産の利回りを引いた値を利回りの変動度合いを示す「標準偏差」で割り出して求める。
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高配当銘柄に投資する投信も運用対象となりそうだ。格付投資情報センターの岡忠志投信事業部長が注目するのは、三井住友DSアセットマネジメントの「三井住友・配当フォーカスオープン」だ。NTTドコモ(9437)やKDDI(9433)など高配当銘柄に投資するため「安定した銘柄が多く配当もあるため、マーケットが急落してもマイナスになりにくい」(岡氏)という。標準偏差は12.06%と低く、シャープレシオも0.92と上位につける。

日興アセットマネジメントの「日興キャッシュリッチ・ファンド」も同様にリスクが小さくシャープレシオが高いのが特徴だ。投資対象は任天堂(7974)やリクルートホールディングス(6098)などで、現金など流動性の高い資産を多く保有する割安銘柄に投資する。余剰資金を多く抱えていれば今後の株主還元や成長力強化への投資にも充てやすい。標準偏差は13.22%、シャープレシオも0.91だ。

リスクを負いたくない場合は、国内外の株式や国債などに分散投資するバランス型のファンドを選ぶ手もある。注意が必要なのは、投資対象の比率を固定するバランス比率固定型と、ファンドマネジャーがポートフォリオを機動的に見直すバランス比率変動型の2種類に分けられる点だ。固定型の場合、例えば債券の金利が低くなっても一定の比率まで購入し続けるため、リターンが低下することもある。

こうした運用担当者が自らの目利きで銘柄を選ぶ「アクティブ型ファンド」では、シャープレシオによる差が顕著に表れる。一方で、指数に連動する「インデックス型ファンド」では、同じ指数に連動するため、リターンとリスクは同程度になる。高い投資効率を求めるなら、アクティブ型ファンドのほうが有効だ。実際、過去3年間の実績をみると、アクティブ型ファンドでシャープレシオが1.00を超えるケースが多い。


積み立て投資は期間のメリットを最大限にいかせるのが強みでもある。若年層のうちはリスク資産の比率を高めて、年齢とともに比率を下げるといった期間の分散も必要になる。2020年度の税制改正では積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の延長・拡充が議論されるなど、積み立て投資への注目度が高まっている。リスクを正しく理解した上で投資することが何よりも重要だ。

ピースサインから指紋パターン、瞳から最寄り駅――。スマートフォンで撮影し、SNS(交流サイト)に投稿した画像などから、生体情報やプライバシーが読み取られてしまう懸念が強まっている。スマホなどのカメラの画質が飛躍的に向上し、鮮やかな写真を楽しめるようになった半面、精密な分析が可能になり、悪用されるリスクが増したという。思わぬトラブルにつながらないよう、自衛が求められている。


笑顔の横にピースサインを出した実験用の画像。指の第一関節までを拡大して誰にでも可能な画像処理を施し、指紋の線を抽出する。スタンプを製造する市販機器にこのデータを読み込ませて素材を加工すれば、指紋の溝が再現された偽の「指」ができあがる。

指紋の特徴を照合する高精度のソフトでも、この「指」を偽物と見抜くことはできなかった。「市販製品を組み合わせただけで、極めて高度な技術は使っていない」と研究した国立情報学研究所の越前功教授は語る。

同教授らのグループは、生体情報が悪用される危険性を研究してきた。本人が触った痕跡からの指紋複製の手法が海外で公表され、指紋認証の脆弱性に着目。画像からの再現法をシンポジウムで発表している。

光の当たり方など条件がそろえば古いスマホのカメラでも、再現可能な精度で指紋が写る。指紋認証はスマホの本人確認やオフィスの入退室管理で広く活用され、他人のなりすましを許せば情報漏洩などのリスクはさらに高まる。

越前教授によると、この手法が悪用されれば、光学方式など様々な種類のある指紋認証システムの一部が突破される可能性がある。同教授は「指紋など生体情報は一度盗まれたからといって、変えられない」と指摘、指紋が読み取られないよう指に貼るシールの開発を進める。

実際に起きた事件からは、画像に写る瞳から撮影場所を読み取られる危険性も浮かび上がった。警視庁は9月、アイドル活動をしていた20代女性の自宅マンションの玄関前で体を触ったとして、20代の男を強制わいせつ致傷容疑などで逮捕。捜査関係者によると、男は調べに「瞳に映った景色を手がかりに女性宅を調べた」と供述したという。

現場の状況や撮影の角度によって、目の表面に広い範囲の景色が映り込むことがある。男は女性のSNSに投稿された顔の画像を悪用。瞳に映った建物の特徴から女性の最寄り駅を割り出し、駅から女性をつけて自宅住所を把握した。捜査幹部は「ストーカーの新手の手法」と警戒する。

「全国webカウンセリング協議会」(東京・港)には、投稿した画像から住所などを割り出されたと思われる人からの相談が多く寄せられる。ネット上の情報を組み合わせて住所や職業を調べる手法は「モザイクアプローチ」と呼ばれ、本人だけでなく、知人の投稿画像から情報が特定される場合もある。

農業を営む新潟市の女性(42)は、農作物やイベントで撮影した画像を日常的にSNSに投稿。自分の居場所について「ここにいるのでは?」と知らない人からメッセージが届いたことがあるという。

「人脈ができることもあり、SNSをやめるのは難しい。居場所の分かる写真は翌日に投稿するなど注意を払いながら利用したい」と話す。

ITジャーナリストの高橋暁子さんは「無意識のうちに自分の個人情報が悪用されるリスクを自覚する必要がある。投稿画像を加工して解像度を下げるほか、固有名詞を写り込ませないなどの手段も有効だ」と話している。

■スマホカメラ、一眼並み

携帯電話のカメラの性能は新機種が出るたびに進化し、中にはデジタル一眼レフカメラに匹敵する画質を誇るものもある。米アップルのiPhone(アイフォーン)シリーズで写真画質の繊細さを示す画素数を比較すると、2009年発売のiPhone3GSが300万画素だったのに対し、19年に発売された最新のiPhone11Proでは4倍の1200万画素になった。

画素数は写真を構成する点の数で、多ければ多いほど、画像を拡大した場合でもきめ細かに表示できる。スマートフォンの中には2千万画素を超える機種もあり、デジタル一眼レフカメラに匹敵する画素数だ。

(野元翔平氏)


ソウルの中心部を流れる漢江にかかる橋に設置された非常電話。「つらいですか? あなたの話を待っています」と書かれている

韓国で芸能人が相次いで自ら命を絶っている。韓国は自殺率が経済協力開発機構(OECD)加盟国中、最も高い。「自殺大国」の汚名返上へ国を挙げて防止対策に取り組むなか、有名人の自殺は大きな連鎖を招きかねない。脱・自殺大国への道のりは遠い。


■自殺率、OECD加盟国平均の2倍

3日にまた悲報が飛び込んできた。若手俳優のチャ・インハさんが自宅で死亡しているのが見つかった。前日もインスタグラムに書き込むなど変わった様子はなかったという。

10月14日には女性アイドルグループ「f(x)」の元メンバー、ソルリさんが亡くなり、11月24日には日本でも人気だった「KARA」の元メンバー、ク・ハラさんが続いた。相次ぐ悲報に韓国社会は衝撃を隠せずにいる。

芸能人に限らず、韓国は自殺が多い。OECDによると、人口10万人あたりの自殺者数を示す自殺率は韓国が24.6と、加盟国平均の2倍だ。日本(15.2)を大きく上回る。

その理由は複合的だが、背景には韓国社会の構造変化がある。1990年代から核家族化が急速に進み、独居老人が急増した。そのペースにセーフティーネットの構築が追いつかず、高齢者の自殺率は50を超える。

自殺がときに抗議や謝罪、問題解決の手段に使われ、悪いことだという認識も薄い。精神疾患への偏見が根強く、人目を気にして病院にかかりにくい雰囲気があることも要因とされる。

■「ウェルテル効果」無視できず

韓国政府は2004年から3次にわたって「自殺予防基本計画」をまとめ、自殺防止に腐心してきた。自殺予防センターの開設や地下鉄のホームドアの設置、猛毒の農薬の生産販売の禁止などあらゆる手段を動員してきた。そのかいあって自殺率は11年の31.7をピークに下がる傾向にあった。

そんな努力が水泡に帰しかねないほどのインパクトを与えるのが芸能人の自殺だ。

「芸能人の自殺は社会的な影響が大きい」。中央自殺予防センターの白宗祐(ペク・ジョンウ)センター長が強く警戒するのが、有名人の自殺が新たな自殺を誘発する「ウェルテル効果」だ。


文豪ゲーテの名著「若きウェルテルの悩み」の主人公ウェルテルは失恋の末、自殺する。その絶望的な結末に、当時のヨーロッパでは連鎖自殺が相次いだという。その現象から生まれたことばだ。

白氏自身、精神科医としてウェルテル効果の恐ろしさを実感している。08年、人気女優チェ・ジンシルさんの自殺だ。「あまりにも多くの人が影響を受けた。誘発されて後追い自殺をした人は1000人を超えた。私も医師となって初めて患者を失った」

白氏の懸念は、いったんは収まったウェルテル効果が再び頭をもたげはじめたことだ。

韓国統計庁によると、18年の自殺による死亡者数は1万3670人と、前年比で1207人(9.7%)増えた。5年ぶりに増加に転じた。自殺率も26.6と、前年比で9.5%増となった。17年12月、人気アイドルグループSHINeeのジョンヒョンさんが自殺し、18年も俳優の自殺が続いたことが影響した。

■芸能人特有の事情も

芸能人の自殺には特有の事情もある。インターネットで常に悪質な書き込みにさらされる。ク・ハラさんは恋人との裁判が格好の標的となった。恋人から私生活を撮影した映像を流出させると脅されていたと伝わると、映像を入手しようと求める書き込みが殺到した。

芸能人の育成システムにも問題がある。幼いころから寄宿舎生活でレッスンを積み、社会経験を積まないままスターダムにのし上がる。人付き合いも限られ、悩みを打ち明けられる親しい知人もいない。白氏は「芸能人は孤独で誰にも助けを求められない。所属事務所はタレントの命を守る特段の対策をとる必要がある」と強調する。

芸能事務所も手をこまぬいているわけではない。ある大手は「アーティストや研修生を対象に、心の健康に必要な教育カリキュラムを運営している」と語る。

ウェルテル効果を防ごうと韓国メディアも知恵を絞る。13年から適用された「自殺報道勧告基準」だ。自殺報道は最小限とし「自殺」という単語の使用は自制する。自殺を美化せず、具体的な手口は報じない。自殺という表現は「極端な選択」と置き換え、自殺をテーマにした記事の最後には、悩みを抱える人のための相談窓口の電話番号を掲載している。白氏も「自殺報道は劇的に改善している」と評価する。

自殺防止の道のりは遠い。ただ、そのための不断の努力は決して無駄にならないはずだ。

鈴木壮太郎
(すずき・そうたろう)
1993年日本経済新聞社入社。産業記者として機械、自動車、鉄鋼、情報技術(IT)などの分野を担当。2005年から4年間、ソウルに駐在し韓国経済と産業界を取材した。国際アジア部次長を経て、18年からソウル支局長。



ソフトバンクは6日、東京大学と人工知能(AI)の研究所を開設すると発表した。AIの基礎研究のほか、先端医療などにAI技術を応用する研究も手掛ける。研究成果は共同で事業化し、そこで得た収益を研究開発やAI人材の育成に投資する。東大や海外の有力大学の研究者を招き、世界最先端のAI研究機関を目指す。

「Beyond(ビヨンド)AI研究所」を2020年度内に立ち上げる。基礎研究の研究所を東大本郷キャンパス(東京・文京)に設け、応用研究の拠点はソフトバンクが20年度に本社を移転する竹芝オフィス(東京・港)に設置する。

AI研究では米国や中国が先行し、なかでも大学がAI関連の特許を多く保有している。ソフトバンクは東大と組むことで、AI関連の研究や技術開発で巻き返しを図る。ソフトバンクは研究者や学生の活動資金として、グループ全体で10年で200億円を投資する。

ソフトバンクG孫氏「基礎研究だけでは続かない」 東大総長と対談
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長と東京大学の五神真総長は6日、共同設立する人工知能(AI)の研究所について都内で対談した。孫氏は「基礎研究するばかりではお金も情熱も続かない」と指摘した上で「技術を事業化に結びつける」ことが重要と強調した。

SBG子会社のソフトバンクと、東京大は2020年度内にAIに特化した研究所を設ける。研究成果は共同で事業化し、人材育成に投資する。孫氏は「学生たちに学ぶ機会を増やし、起業のチャンスをどんどん与えていきたい」と述べた。SBG傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の投資先のAI企業との連携も視野に入れる考えを示した。

五神氏は「最近は東大にもスタートアップ企業のオフィスも集積し、優秀な学生がこぞって起業を目指すようになった」と述べた。一方で「(東京大学は)国内では一番トラディショナル(伝統的)な組織。新しい物好きなソフトバンクとの連携は社会にいいインパクトを与えるのでは」と期待を示した。

孫氏はAIを巡る情勢について「米国と中国が国をあげて真っ向勝負している。企業数やその規模、特許の出願数も2国のトップ争いになっている。日本は蚊帳の外と言っていいくらいだ」と危機感を示した。その背景として「日本はAIについて十分な知識が得られる学習の場が少なかった」と述べた。

資産形成格差拡大!機関身勝手 顧客置き去り!

三菱UFJ銀行は2年間取引がない不稼働口座に手数料をかける検討に入った。新規開設分が対象で、2020年10月にも年1200円の口座管理手数料を導入する計画だ。銀行の収益力は長引く低金利で低下している。口座管理費の有料化は採算の合わない金融サービスから対価をもらう大きな転換となる。他の金融機関も追随する可能性がある。

20年7月にも顧客に通知し、周知期間を経て導入する。導入後に新規に口座を開設した人に限って手数料を取る。手数料を取り続けて残高がゼロになった場合は自動解約する方針だ。既存の契約者は不利益変更になるため手数料の徴収を見送るが、検討を続ける。


三菱UFJ銀の個人口座は4000万件程度ある。足元で2年間不稼働の口座は800万件程度とみられる。就職後に給与振込口座を設けて学生時に開いた口座が使われなくなっていたり、本人の死亡後に親族に気づかれずに放置されていたりする口座などが不稼働になっている。

銀行は個人などから預金を集め、企業に預金金利よりも高い金利を付けて融資してきた。口座管理にはシステム費や人件費がかかるが、安定した収益を生んできた。

ところが、超低金利で預金と貸出金利の差である「利ざや」が縮小し、口座管理のコストが無視できなくなってきた。特に日銀が16年から導入したマイナス金利政策で、本業の融資による収益力は低下している。

一方で、口座管理にかかるコストは増加傾向だ。邦銀は過去に資金洗浄(マネーロンダリング)対策で国際金融当局から不十分と指摘されており、口座開設者の身元の確認を厚くするためのシステムや人手にかかる経費がかさんでいる。サイバーセキュリティーを高めるためのシステム改修も増えている。

三菱UFJ銀は口座管理手数料のほかにも、両替など店頭サービスの手数料を引き上げる検討もしている。他行あての振り込みでは3万円以上で880円がかかっている。これを来春にも1000円程度に引き上げる方向だ。

無料で発行してきた紙の通帳も有料化する方向だ。1口座あたり年200円の印紙税負担のほか、印刷代などの経費が生じているためだ。

日銀によると、家計の消費支出に占める金融機関向け手数料の割合は米国が0.23%、英国は1.20%なのに対して、日本は0.01%にとどまる。海外では様々な金融サービスの利用に手数料をかけるのが一般的だ。

日本では無料が前提となっている口座管理に手数料がかかることへの利用者の反発が強く、銀行は有料化に踏み切れないでいた。不稼働口座への手数料は、実質国有化後にりそな銀行が04年に導入した程度にとどまっていた。

金融機関を取り巻く環境が大きく変化し、預金口座の管理にかかるコスト増をどう賄うかは、金融機関で共通の課題となっている。最大手の三菱UFJ銀の動きは、個人向け金融サービスのあり方を大きく変えるきっかけとなりそうだ。収益力の低下に悩む地方銀行をはじめ、追随する銀行が出てきそうだ。


アフガニスタンで医療や灌漑(かんがい)事業などの人道支援に取り組む非政府組織(NGO)「ペシャワール会」(福岡市)の中村哲医師(73)が4日、現地で銃撃され、死亡した。ペシャワール会が明らかにした。

アフガニスタン東部ナンガルハル州の報道官によると、中村さんのボディーガードや運転手ら5人も死亡したという。

ペシャワール会によると、中村さんは現地時間の4日朝、アフガン東部の都市ジャララバードにある宿舎から、北東方向に25キロほど離れた灌漑(かんがい)用水の改修工事現場に向かった。その途中で何者かが車両を銃撃。中村さんは右胸付近に被弾し、ジャララバードの病院に搬送され、手術を受けたが死亡した。

中村さんらを襲った人数や性別などは不明。同国での移動時は通常、護衛用の車が同行しているが、当時の状況はよく分かっていないという。

中村さんは同会の現地代表のほか、PMS(平和医療団・日本)の総院長を務める。2003年から深刻な干ばつで苦しむ東部のナンガラハル州で用水路建設を開始。年間の半分以上は現地に滞在し、農業振興に取り組んでいた。

反政府武装勢力のタリバン関係者は4日、日本経済新聞の取材に「今回の日本人の攻撃には関与していない」と語った。ただアフガニスタンにはタリバンのほか、過激派組織「イスラム国」(IS)など20強のテログループが活動しているとみられ、地域情勢が不安定になっている。

安倍晋三首相は4日夜、中村さんの死亡を受け「ショックだ。心からご冥福をお祈りしたい」と述べた。「危険で厳しい地域で命懸けで様々な業績を挙げ、アフガンの人々からも大変な感謝を受けていた」と評価した。首相官邸で記者団に語った。

菅義偉官房長官は4日の記者会見で、外務省に領事局長をトップとする対策室を、在アフガニスタン日本大使館に現地対策本部をそれぞれ設置したと明らかにした。「さらなる情報収集をしている。誰から銃撃されたとの情報はまだ得ていない」と語った。

中村さんは福岡県出身。1984年にアフガンとの国境付近にあるパキスタンのペシャワルの病院にハンセン病の医師として赴任した。同国やアフガンで医療支援活動を続けてきた。

2000年からはアフガンで発生した大干ばつ対策のため井戸掘りなどの事業を開始。03年からは同国東部で用水路の建設も始め、これまで約1万6500ヘクタールの土地に水を供給した。

03年には「アジアのノーベル賞」と言われるマグサイサイ賞を受賞したほか、今年10月にはアフガン政府から市民証(名誉市民権)を授与された。

ペシャワール会は1983年に中村さんの医療活動を支援する目的で設立されたNGO。2008年、アフガンで農業支援に取り組んでいたスタッフの伊藤和也さん(当時31)がアフガン人の運転手と共に拉致され、遺体で見つかる事件が起きた。事件後、同会は日本人スタッフを帰国させたが、中村さんは現地に残り活動を続けていた。

国連、中村医師殺害を非難「無分別な暴力行為だ」

【ニューヨーク=吉田圭織】アフガニスタンで銃撃され、死亡した中村哲医師(73)の悲報を受け、国連アフガニスタン支援団(UNAMA)は4日、殺害を「非難し、嫌悪する」とツイッターに投稿した。「最も弱い立場のアフガン人を助けることに人生の大半をささげたものに対する無分別な暴力行為だ」として批判した。

国連人道問題調整事務所(OCHA)も中村氏の殺害を「嫌悪する」との声明を出し、「アフガニスタンの人道支援団体らは支援を必要とする人々のために休みなく活動している」と強調した。

国連の事務次長で軍縮担当上級代表を務める中満泉氏もツイッターで「誰よりも長くアフガンを支援した中村医師は私たちに国際協力のあり方を示してくれた」と投稿した。

アフガニスタンでは11月下旬にも、国連開発計画(UNDP)の職員1人が殺害され、同国当局と国連が事件を調査している。

横浜市の板東洋介さん(仮名、42)は毎週末、普段は元妻と暮らす息子(9)と公園で遊ぶ時間を心待ちにする。離婚から2年たち、元妻と会っても会話はほとんどない。「離婚はDNAデータが決め手だった。後悔はしていない」と話す。

結婚は8年で冷え切ったが、息子もいて終止符を打つか当時は迷った。「判断材料がほしくて」遺伝子検査の相性判定サービスに頼ると、相性スコアは「48%」。「(この遺伝子パターンでは)長続きするカップルは少数」と説明された。板東さんは「生物的に合わないならと吹っ切れた。妻も納得した」と振り返る。

利用者は300人超

サービスを提供した結婚相談所の社長、伊達蝶江子氏は「判定にはスイス企業の技術を使う。参考にする人は結婚や離婚の決断が速い」と話す。遺伝や心理学の複数の専門家は「遺伝子が人間関係に影響する可能性はあるが科学で未解明の部分も多い。『相性がわかる』と信じ切らないほうがいい」(米ニューヨーク州立大のリチャード・マットソン准教授)と否定的な意見を示す。しかし利用者は増え300人を超えた。

データは将来の安全な選択肢をはじき出す、その人の最良の理解者なのか。西垣通東大名誉教授(情報学)は「過去を熟知した人工知能(AI)はリスクをなくす助言が可能かもしれない。でも間違いのない人生には偶然の出会いや発見もない」という。それは本当の幸せと言えるだろうか。

故人と「会話」

それでも技術の進歩は止まらない。亡くなった家族と話したい。そんな願いすら、かなえられる。


パソコンを通じて「AIボット」と会話するヒアアフター創業者のブラホス氏

「父さん、大学時代の新聞部の話をしてよ」。米カリフォルニア州のジェイムズ・ブラホス氏は時々、2年前に亡くした父との「会話」を楽しむ。相手は生前の父のデータを集め、話しぶりを再現したAIだ。同氏は「父のジョークを聞くとうれしくなる」と笑う。

ブラホス氏は「死後も家族と話せる、自分の分身を作る」企業のヒアアフターを立ち上げ、500人以上の予約を集めた。現在は会話だけだが、技術が進めば再現した人格が意思を示すことができる可能性もあるという。遺産相続や配偶者の再婚などに、死後の自分が意見するかもしれない。

デジタル空間に再現された人格は「デジタルツイン」と呼ばれる。PwCコンサルティング(東京・千代田)の堤裕次郎パートナーは「豊富なデータを高度に分析することで、自分の『分身』作りも可能になった」と話す。将来かかりやすい病気の予測や新薬開発にも応用される。

ただ「分身」作りを手掛けるブラホス氏は悩みを抱える。「デジタル空間の『もう一人の自分』が意思まで示すようにするのは、新しい命を生むようなもの。それは本人と言えるのか偽の複製なのか。わからないんだ」。技術をどこまで高めるか決めかねている。

データが、人生の行方すら予測する時代が訪れた。だが依存しすぎれば振り回され、幸せを見失う。思いがけない出会いや発見をもたらす運や偶然もデータは捉えきれない。計算された答えをどう受け止め、向き合うのか。それは自分自身で決めなくてはならない。


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